第7話 今後の治療

11月26日(金)

AM6:00

 ハルにライン

『おはようスタンプ。今朝は、どんな感じですか? 無理をしないようにね。何かして欲しい事はありますか? 今日は、病院の先生と、ハルの体調や、これからの事について、お話をする予定です。まだ何時からか、時間はわかりません。ハルに会えたらうれしいな』


AM8:30

 病院に電話をして「何時に伺ったら良いでしょうか?」と問い合わせをしたら、「後ほど連絡します」と言われた。


AM9:00

 病院の看護師さんから電話。

「はっきりと時間は解らないけれど11時以降に、医師から、電話を致します」

 との事だった。

「今日は、お伺いしないで、良いんですか?」

 と聞くと、

「はい」

 との事。

「え~、行かなくていいの~、こんな大事な事を電話ですませちゃうの~」と思った。夫は、その為に、仕事を休んだのに。これも、コロナの感染予防の為なんだろう。

 

PM12:00

 電話が鳴った。ホントに、電話の音には、ドキっとする。学校の養護の先生からだった。「心電図検査の結果を郵送しました」との事だった。


PM12:30

 夫と、昼食。また、ハルの好物の、札幌一番味噌ラーメン。いつ電話がくるか解らなかったので、急いで食べた。


PM4:00

 家のインターフォンがなった。ドアを開けると、友人が泣きながら立っていて、強く抱きしめてくれた。ハルの事を知って、駆けつけてくれた様だ。


 ハルのスマホの利用可能ギガの残量が、見る度に減っている。と言う事は、スマホを使っていると言う事だ。ユーチューブや動画等を見ているのかな。回復して来たと言う事だよね。


PM5:00

 ずっと待っていたけれど、病院から電話がこないので、こちらからかけてみた。主治医が出て、

「すみません。夜、かけようと思っていました」

 と言われた。お忙しかったのだ。申し訳ないです。

《内容》

 日を追う毎に、受け答えがしっかりしてきた。スマホも操作している。まだ、声はかすれているけれど、出てきている。

 耳鼻科の医師に診て頂き、飲み込みの力などを評価して貰った。かすれ声に関しては、声帯が少し鈍くなっている。これは、気管挿管の影響だと思われるので、徐々に良くなって行くと思う。飲み込みの力は、ある程度は保たれているけれど、少し、むせこむ事があり、誤嚥肺炎が懸念されるので、食事は、段階的に、柔らかい物から、堅い物へと変えて行くという形で始めていいだろうと言う判断で、今日のお昼から、とろみ食を始めた。本人も「お腹空いた」と言っていた。半分くらい食べたかな、と言う感じだった。

 神経内科の医師には、「頭の評価」と言うものをして頂いた。今日は、MRI。目立った所見はない。低酸素脳症という、血流が悪かった事で起こる脳への影響は、なさそうではある。来週、脳波をとる予定。リハビリも、徐々に行っていく。

 今後の、移送についてですが、大学病院の先生方に、ハルさんの状況を議論して頂いた。今後の心臓の治療は、こちらでのリハビリが落ち着いた時点で、転院してやるのが良さそうだろう、という話になった。12月になってからになると思う。

 来週は、こちらで、リハビリをして、再来週転院するという形をとって、治療をして頂くという形を考えています。

 まだ、具体的な、転院の日は決まっていない。来週の時点で、話を進めていく予定。

 今回、不整脈が出てしまった所の、アブレーション治療という所が、大学病院で行って頂く主な治療になると思います。その結果で、除細動器を入れるかどうか、検討する。

「今の状況で、また不整脈が出ると言う事はありますか?」と質問したら、「今の状態で、強い運動負荷をかける事がなければ、不整脈は起こらないと思っています」との事。

 今日は、少しずつ、ベッドから離れて、歩いたりしている。トイレなど、長い距離は車椅子で移動している。

 月曜日に、心臓のMRIをする予定。造影剤というのを使います。今まで造影剤を使った事はありますか? 造影剤の副反応もありえる。アレルギーはありますか?

来週、一般病棟に移ったら、短時間ではあるけれど、面会できる。また、月曜日の夕方から夜の間に、電話を下さる。点滴で、抗生物質を投与している。栄養と水分は、今日から、口から取る様にしている。


 担当医から、いろいろと詳しく聞けて、安心する。嘔吐がないと言う事も、嬉しい。

ショックだったのは、原因が、WPW症候群だった事。定期的に診て頂いていた国立病院の医師には、「ハルの場合は、自覚症状がないし、アブレーション治療をしなくても良いでしょう。突然心臓が止まっちゃう確率は低いし、大丈夫でしょう」と言われていたのに。

 ああ、年一回の定期検診をやめなければ良かった。アブレーション治療に関しても、もっとしっかりと調べて、こうなる前にやってもらえば良かった。でも、アブレーション治療を勧められた事はなかったなあ。自覚症状がない元気な状態で、アブレーション治療をする事は、あまりないのだろうか? 


 ハルにラインをする。

『今、病院の先生と話をしました。栄養剤をやめて、口からご飯を食べているそうですね。良かったね。お腹空くよね。でも、いきなり普通のご飯だと、身体がびっくりしちゃうから、しょうがないね。頑張ろうね。まだまだ会えないみたいだけど、離れていても、いつもハルの無事と健康を祈っています。何か必要なものがあったら、連絡下さいね。余裕があったら、自撮りして送ってね』


 これから、一般病棟に移っても、安静が必要なので、たいくつだろうから、映画のDVDとポータブルDVDを持って行ってあげようかなと思い、夫に相談すると「ネットフリックスとか、アマゾンプライムとか、そういうサブスクライブの様な物の方が良いのでは」と言われた。

「ハルに、何が良いか、聞いてみれば?」

 と言われたので

「ラインには返事がなくて、既読無視だよ。友達には、返事を出しているみたいだけど」

 と言うと

「そりゃあそうでしょう。高校生なんだから、母親の、心配するラインに、いちいち返事はしないでしょ。Huluとかアマゾンプライムとかネットフリックとか、見れる様にしたい? って出してみたら」

 と言われた。もっともだ。すぐにラインする。

『一般病棟に戻ったら、Huluとか、アマゾンプライムとか、見れる様にしたい?』


 夜、母に、ハルの近況報告の電話をした。「今回の事は、コロナじゃないよね?」と念を押す様に聞かれたので、「はい。コロナは関係ないです」と言う。

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