第16話 退院・自宅へ

12月17日(金)

AM5:00

 起床。今朝は「おはようスタンプ」は、なし。


AM8:30

 外は雨。車を走らせ、病院へ向かう。


AM9:45

 駐車場に到着。ハルに『駐車場に着きました』とラインする。

 受付で、質問表を記入して、熱を測って、許可バッチをもらい、エレベーターで7階まで行くと、廊下には、ハルと看護師さんが数人待機して下さっていた。荷物と書類を受け取り、お世話になったお礼を言って、会計に向かう。

 会計では、高額療養費制度の認定書がまだ届いていないと言うと、「次回の診察の時に、証明書を持参して下さい、料金は、その時で良いです」との事だった。「エ~、良いの~、42万円だよ~。付けがきくって事~」と心の中で驚く。そして、2人で駐車場に向かう。

 車を走らせる時は、緊張した。ここで事故ったら、今日までの様々な事が無駄になるなと思ったので。とにかく無事にハルを家に連れて行かなくては。ハルは、後部座席に座り、友達からの寄せ書きを見ながら、とても寛いでいる様に見えた。 

 バックミラーに映るハルの笑顔を見ながら、本当に長い29日間だったなあと思った。


AM11:30

 帰宅。

 ハルが、帰宅した事を、実家の父母、担任に電話し、夫、妹、友達に、ラインをする。


 ハルは、自室のベッドが、三段から二段になっている事に驚きながらも、懐かしそうに、布団に顔を埋めていた。そして、荷物を整理してから、お菓子を食べながら、録画しておいた「世界の果てまでイッテQ」を見ていた。笑いながら。その姿を見て、「ああ、いつもと同じだ。何も変わっていない」と、〝いつもと同じ〟と言う幸せを噛みしめた。


PM12:30

 昼食。エビの天麩羅+うどんを作る。ハル、完食。


 ハルが「明日、床屋に行きたい」と言う。そうだよね。髪もだいぶ、伸びたよね。 いつも行く床屋に予約を入れる。そして、歯医者にも予約を入れる。入院中、歯磨きが出来ない日が多かっただろうから、きっと虫歯が出来ているだろうな。(後に歯医者に行ったら、三箇所に虫歯があった)


PM1:30

 妹が、ホールケーキを買って来てくれた。ハルは「今食べたい!」と言い、4分の1を食べた。食欲がある様で良かった。

 医師からは、今後、生活していく中で、「前と違う、おかしい」と思う事があったら連絡して下さいと言われていた。今の所は、ない。


 ハルの身長を測ってみた。壁に沿って立ってもらい、頭のてっぺんの位置に印を付けて、メジャーで測るという大雑把な測り方だけど、174センチあった。体重は、45キロだった。タニタの体重計が使える身体で戻ってきてくれて良かった。


PM6:00

 夫が帰宅。普段は、直ぐに自室に直行する人だけど、今日は、リビングに来て、ハルの顔を見て「おお、元気そうだ」と言っていた。

 ハルが入院中に、夫と「ハルには、今後、心電図が測れるスマートウォッチを持たせよう」と考えていて、いろいろと調べていた。ハルにも伝えていて、それぞれに調べて、検討していた。値段の高いアップルウォッチ以外にも、同じ様な物は売っているけれど、性能を考えると、アップルウォッチが良いだろう。ハルもコレが良いと言っているし。上手い具合に、新しく出たapple season 7 と言う物に、心電図測定機能が付いている。これに決まり。では、どこで買う? 取りあえず、物を見てみたいので、明日、量販店に行こうと言う事になった。


 夜、ハルは、久しぶりに、友達とライン電話で長話しをしていた。こんな所も、今まで通りのハルだ。


PM10:30

 布団に入って、寝ようと思っていたら、ハルが「お茶漬け食べるね~」と言って、キッチンに立って、作っていた。

 そんな姿を見て、ハルが倒れたあの日から、昨日まで、ハルが家にいなかった約一ヶ月間は、現実だったのだろうか? もしかしたら、夢の中の出来事だったのではないだろうか? と思った。不思議なくらい、今、普通に、ここに、ハルがいる。

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