第11話 ご飯大盛り

12月2日(木)

AM6:00

 ハルに『おはようスタンプ』を送る。


 ハルの携帯のギガ数をみたら、だいぶ減っていた。一日で、7ギガも使っていた。病院のフリーWi-Fiは接続しにくいらしい。仕方ない。ハルの契約は、一ヶ月25ギガ。今後、この病院にいる間にゼロギガになったら、ギガを追加していく方法が良いのかな。調べよう。


AM8:10

 朝食は「まぁまぁ食べれた」らしく、量は「普通だった」ようだ。

 「炭酸が欲しい」との事。「飲んでも良いの?」と聞くと、昨日私が持って行ったペットボトルの中に、カルピスソーダーが入っていて、飲んだとの事。あれ? 入ってた? 入れない様に気をつけていたんだけど・・・・。


 携帯のギガの事を調べた。一ギガ追加で1100円だって。病院に確認すると、定額Wi-Fi利用の制度はないとの事だったので、ここに入院している間は、何とか、一日3ギガくらいに押さえて使って欲しいと思い、その事を、ラインで伝えた。代わりに、ポータブルDVDと、映画のDVDを届けようか? と提案すると、『持ってきて』と返事がきた。『ゼリーと、カロリーメイトも』だって。『カロリーメイト、ダメでしょ。昨日の、誤嚥性肺炎を併発した話、聞いていたでしょ?』『うん』『一応、後で、看護師さんに電話して、聞いてみるよ』と打つ。

 そして、病院に電話をして、看護師さんに聞く。こんな事で、お手間を取らせて、申し訳ないなあ・・・・と躊躇しながら電話をしたら、今日は、話しやすそうな、男の方だった。「ハルが、Wi-Fi使えなくて、たいくつしているらしいので、ポータブルDVDを届けたいのですが、良いですか?」「良いですよ~」「飲み物とゼリー類も足りないと言っているので、追加で持って行っても良いですか?」「はい」「ご飯、大盛りでお願いしたんですけど、まだ、大盛りになっていないみたいなのですが・・・・お腹が満たされないみたいで、カロリーメイトを持ってきて欲しいと言われたんですけど、どうでしょうか?」「先生に聞いてみないと解らないので」「では、一応、持っていくので、ダメなら持ち帰ります」と言う。

 今日は、外回りの雑事をしようと思っていたんだけど、また、病院に届けモノをする事になった。

 スーパーとコンビニとドラックストアーで、ゼリー、ヨーグルト、カロリーメイトを買う。スティックタイプの羊羹があったので、それも買ってみる。


PM3:00

 病院に到着。駐車場に車を止めて、車外に出ると、防災行政無線が聞こえた。7才の男の子が朝の8時から行方不明との事だ。可哀想に。今の私は、以前よりも、人の心の痛みが解る気がする。親も、本人も、辛いだろうな。早く見つかる事を祈る。


 いつもの様に、検温や受付をして、入院病棟手前のフロアーまで行き、インターフォンをならす。あの、イケメン看護師さんが表れた。ああ、今日は、来て良かったわ。目の保養。優しいから頼みやすいし。

 ハルの荷物を渡し、カロリーメイトの事を聞く。「カロリーメイトは、まだ、先生に聞いていないので、本人に渡して、OK出でから食べる様に伝えますね」との事。「勝手に食べない様に、念を押して下さい」とお願いする。

 それから「ハルが首からぶら下げているポシェットは何ですか?」と訪ねると、「心臓の動きを計るものです」との事。安心した。自宅用にも、欲しいくらいだ。同じフロアーの患者さん達も付けていた。

 帰ろうとしたら、携帯がなった。昨日の、ソーシャルワーカーさんからだった。「今、丁度、病院にいます」と言うと、ここまで来て下さるとの事だったので、入院病棟手前のフロアーで待つ。

 待っている間に、何人かがエレベーターでここまで来て、インターフォンを鳴らして、看護師さんに、家族の着替えや、私物渡しをお願いしていた。その時に、近況や、状態などをお聞きしている。中には、成年後見制度の用紙記入を依頼している人もいた。コロナの影響で、看護師さん達の、本来の仕事ではない仕事がたくさん増えているんだろうな。本当に、大変なお仕事だ。普通の精神では続かないだろうな。魂のレベルが違うというか、マザーテレサとか、ナイチンゲールみたいな、崇高な心でないと。

 ソーシャルワーカーさんが来て、リハビリ施設に仮予約をして下さったとの事。一番早くて、2月3日。遠いなあ・・・・。それだけ、リハビリを必要としている人がいるって事なのだろう。


PM4:00

 ハルに『帰るね』とラインをすると『ありがとー』と返事がきた。


12月3日(金)

AM5:30

 ハルに『おはようスタンプ』を送る。もう、私の日課だな。


 7時前、地震が起きた。震度3だった。縦と横に揺れた。震源地は山梨県。こんな時に、大災害が起きたらどうしよう・・・・と不安に思う。


AM8:10

 ハルからライン。

ハ:『今朝は、大盛りだった』

私:『良かったね。今日は、こちらでやる事があるから、行けないけど、大丈夫?』

ハ:『はい』


 昨日、紹介して頂いた「リハビリステーション」に電話をする。住所や、入院に至った経緯、今の状況、これからする手術の予定などを聞かれる。もっと早い日付にキャンセルが出たら、連絡を下さるとの事。

 

 外出して、幾つかの雑事をこなす。そして、ニトリに寄って、タニタの体重計を買った。ハルが帰宅したら、頑張って体重を増やして欲しいと思って。


PM12:30

 帰宅。

 病院の昼食は、「そうめん」だったそう。温かかったのか、冷たかったのか、美味しかったのか、食べられたのかは、わからない。


 足の付け根が痛い。運動不足かなあ。

 昼食は、袋麺の焼きそばを作って食べた。ハルが倒れた日から、お菓子類を食べていない私。ハルが我慢しているので、食べたい気持ちにならない。胃袋と心は、直結しているんだなあ。


 体重計をセットしようと、取扱説明書を読んだら、ペースメーカーを入れている人は、使用禁止と書いてあった。そうだった・・・・。知っていたのに、深く考えないで買ってしまった。失敗。アブレーション治療の結果で、埋め込み型除細動器を入れるかも知れない。そしたら、このタニタの体重計は使えないのか・・・・。


PM2:50

 病院から電話が来た。出ようとしたら、切れた。何? ハルに何かあったのか! と思って、ハルの携帯に電話をするが、でない。二回かけるが、出ない。ドキドキする。ああ、また何か悪い知らせだったらどうしよう。ドキドキして、向こうからの電話を待てなかったので、携帯から、病院に電話をする。電波が悪いのか、通じないので、家の電話から、病院に電話をかける。主治医が出た。転院の日にちが決まったとの事だった。ああ、良かった~。ホッとする。

《内容》

 ハルは、当日、救急車で市民病院を出発する。大学病院には、10時30分到着予定。私と夫は、直接現地に行き、ハルの到着を待つ。大学病院での担当医とは、午前の診察が終わり次第、面談との事。

 そして、ハルは、今朝から、標準食になり、食欲もあります、との事だった。


 電話を切った後、ハルから『何?』とラインが来たので、電話をして、転院の事を話したら、途中で切られた。そして『非常時以外電話しないで病院だから』とラインが来た。ごもっともです。『ごめんなさい』スタンプを返す。

 夫に、ラインで転院の日程を知らせる。


PM4:45

 担任から電話。27日(土)にお願いした事の解答だった。

 担任と、ちょっと話が食い違っていた。ハルは、今回の事で、だいぶ学校を休んでいるし、これからも休むだろう。その分を「欠席扱いにしないで欲しい」と言った訳ではないけれど、担任は、そう解釈した様だった。私は「長期に欠席してしまう事になるが、進級できますか? 大丈夫でしょうか? 出席日数が足りないのなら、春休みに補習などの名目で出席して出席日数を加算すると言う事は出来ないのでしょうか?」と言う事を言いたかった。校則では、一年の3分の1欠席すると、進級できないらしく、ハルは、まだ、大丈夫との事。

 もし、しばらく自宅安静が必要だった場合、授業をリモートで受けると言う事は出来ますか? という質問については、「そういう設備が整っていない」との事。

 遅れた分の授業は、アイパットや、プリントなどで、自分で勉強できる様にはしてくれるらしい。一応、ハルが遅れていると言う事は、考慮しながら、対応してくれるとの事。

 「学校に行っても、大丈夫ですか? いろいろとご迷惑をおかけしたのに、良いんですか?」と言うと、「それは、大丈夫です。皆、待っています」と言ってくれた。

 そして、今後の手術や、定期的にリハビリテーションに通う事、高次脳機能障害の恐れがある事を伝える。また「お見舞いに行っても良いですか?」と聞かれたので、「コロナで無理です」と伝える。

 学校の健康診断を行った診療所に、直接問い合わせをしても良いか? と訪ねたら、OKとの事だったので、問い合わせ先の電話番号を聞く。


PM3:45

 ハルからライン。

ハ:『これ、また買ってきて』(届けたゼリーの写真が添付されていた)

私:『OKスタンプ』

ハ:『鬼滅の刃録画予約しておいて』

私:『了解スタンプ』

ハ:『次に来る時ニキビの薬も持ってきて』

私:『了解スタンプ』


 さっき、ハルに注意されたので、反省して、あまりチョコチョコラインするのを止めようと思う。自粛。

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