No16ー16ー

「はいこれ」

少女ルナ軽々しく持っているものだから、そんなに重くはないのだろう。

と思ったら大間違いだった。

「重っ」

「私だってここまで運べたんだよ?

それとも、腰が痛いおっさんには辛いかな〜?」

ルナがバカにしてくる。

「俺はおっさんでもないし、腰が痛くもない!」

重い。痛い。

「ムキになっちゃって、大人気ないよ?おっさん」

ショウコまでバカにしてくる。

「じゃあお前が持ってみろ、、、」

「ねえショウコさん、ショウコさんはいつ亡くなったの?」

さえぎるなよ!!絶対わざとだろ!!

「2002年の冬よ」

「もう終わるってことは、ショウコさんの罰は20年?」

「いえ、60年」

「え?」

境界ここの時間の流れは俗界あっちと違うの。

約3倍のスピード。

まあ感覚は変わらないから、時計見ないと分かんないんだけどね」

「だからお前の罰は俗界あっちの時間でいうと約16年」

「16、人生と同じか」

「ルナちゃん16歳なの?」

「あっ、はい」

「なんでショウコには敬語なんだよ?」

「だっておっさんはおっさんじゃん」

「あ?」

胸が痛い。

微笑ましい光景。

私と父のよう。

16歳で父親を殺された私。

16歳で父親を殺したルナ。

あの時から、私の人生が、運命が、変わっていった気がする。

幸せの崩れる音がする。

父はなぜ殺されたのだろう?

父は誰に殺されたのだろう?

父は、、、

「ショウコさん?」

「え?ああ、帰ったら『相棒』観してね」

「うん」

父は46歳で死んだ。

父、ルナ、それに彼はなぜこんなに若く死んだの?

死ななきゃならなかったの?

重い。痛い。




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