落し物

No13ー遺失物センターー

人生ゲームをしながら、私は死神について教わっていた。

まず、『自分は本当に死んでいるんだ』と飲み込むのが大変だった。

境界ここには食べ物がない』と知った時はショックだった。

「ここに住むなら、いろんなものを持って来ないとね」

ショウコさんはピンクの車を進めながら私に話しかけた。

「お店とかあるの?」

この家の造りは、まず、玄関からまっすぐ廊下が奥までのびていて、

その両脇に部屋がある。

玄関に近い右側の部屋は洗面、風呂。

洗面の隣は空室。

一番奥に殺屋おっさんの部屋だ。

左側は、一番手前が空室。

隣にショウコさんの部屋。

一番奥にリビングがある。

今はリビングにいる、

ここにはたくさんのものがあるが(あのデカいカートは何に使うのだろう)、

どれも一昔前のセンスだ。

「お店があったら漫画の新刊とか買えるんだけど、

残念、ありません。

あるのはです!」

「遺失物、、、?落し物ってこと?」

「よし、行くか!」

おっさんは青い車を置き、デカいカートを手にとった。

「ちょっとどういうことなの?待ってよ!!」

私は白い車を置いて、二人の後を追った。


二人に言われるがまま、曲がりくねった道を行く。

しばらくすると、小さな、本当に小さな建物が現れた。

「何これ、こんなところに本当にあるの?!」

「ここにはない」

「はあ?!」

時間と労力返せや!

「ほら行きな、ここには一人しか入れないの」

「でも、何をすれば、、、」

「落し物を取ってくればいい、君が死ぬときに落としてしまったものを」

私は遺失物センターに入った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る