No15ーレプリカー

「それだけか?」

「うん。ていうかこんなに持って来ていいの?」

「ああ、この部屋は、お前の生前の記憶から作られた、いわばレプリカの世界。

ってショウコに言ったら、こいつテレビ持ってきやがって。

死ぬまでに放送されたやつしか観られないっての!」

レプリカ、だから外はない。

「いいの!『相棒』のシーズン1観れるから」

「じゃあ私もテレビ持って来たい!」

「えぇえ、俺が持つの?」

「当たり前でしょ!ねぇルナちゃん、『相棒』ってまだやってる?」

「あんま観ないけどやってますよ。今は実写よりアニメですよ!!」

「ねぇ、俺が持つの?」

「待って今持って来る!」

ショウコさんにアニメを語りたい!

「ちょ、待てよ!」

「「キムタクかよ」」

元ネタは知らないけど、と思いながらツッコミを入れたら、

ショウコさんも入れていてビックリした。

「キムタクいるのね?!」

興奮気味にショウコさんが尋ねる。

「え、あ、はい」

「テレビ持って来なさい!!」

あまりの勢いにビックリした。

「え、あ、はい」

「ねぇ、俺が持つの?」

後ろからおっさんの情けない声が聞こえる。


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