陽狂ルナティック

【読切作品】

「東の果てに、異能発狂者を国防に登用する頭のイカれた国があるらしい」

『稀癌罹患者』──狂気によって異能力を発現する罹患者は、衝動に任せて安易に他者を手にかけかねない。故に見つかり次第すぐ処分されるのが世界各国の共通認識。

　だが唯一、『制御』の術理を戴く島国──皇和国は違った。

　月に魅入られた義妹を救うため皇和国へと密入国したシャレイ。皇都の関所で捕まってしまった彼女の前に、邏卒（首都の治安維持組織）を名乗る怪しい男二人組が尋問のために現れる。シャレイの身元を引き受け外へ連れ出した彼らの真意とは。



　各国が独自の魔術体系『術理』を用いて侵略戦争を繰り返す黎明期。侵略そのものを拒絶する皇和国は国防を第一に富国強兵を掲げていた。国を治める皇（すめらぎ）は、術理に縛…続きを読む