第15話 巻き込まれ召喚されたのお前らなんだけど?30歳の逆転人生!

10月13日にギフトを頂きました。まことにありがたいことです。

ありがとうございます。

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「では旦那様、わたくしの名前を決めて頂けますか?」

「名前?」

「はい」


 俺は立ち上がり、メイドさんをじっと見つめた。


「う~ん、万能戦闘メイド零式タイプA……零式だからレイ……」

「それでは今後、他の零式を創造した時に困りませんか?」

「鋭いツッコミをありがとう。そして作るの前提なんだな」

「はい。むしろ旦那様を確実にお守りする為にも早く姉妹機を作って頂きたく思います」


 ――な、なんてできた子なんだ……。


 他のメイドに嫉妬するでもなくむしろ旦那様のために増やして欲しいだなんて、なかなか言えないぞ!


「それに二人以上いないとサンドイッチプレイができませんよ?」


 ――なんてデキ過ぎた子だろう。


「こら、女の子がそういうことを言うんじゃない!」

「笑顔で怒られても響きませんね」


 ――しょうがないだろ。男は30歳になっても性欲は思春期なんだから。


「じゃあタイプAだからエイコとか?」

「同じくタイプAを創造した時に困るかと」

「全部で何タイプあるんだ?」


「それは存じ上げませんが、魔法戦闘に特化したタイプA、射撃戦闘に特化したタイプB、近接戦闘に特化したタイプC、隠密戦闘に特化したタイプD、サポート戦闘に特化したタイプEの存在はわたくしのデータベースにございます」


「仮に5タイプ全部作ったら、6体目からは被るわけか……」


 あらためて彼女の容姿を視線でなぞる。

 顔立ちは2・5次元美少女で人種不明だけど、服装は着物に割烹着風メイドエプロンだ。

 俺の故郷である日本を感じることができる和名をつけたい。

 トモエとか。


 ――そういえば俺の好きなラノベに、旧日本の地名を付けたメイドロボが出てきたな。


 薩摩、筑前、播磨、尾張、加賀、越後。

 何かこう、女性的で綺麗で雅でそれでいてクールな語感が欲しい。


「……周防<すおう>」

「スオウ?」

「うん、お前の名前はスオウさんだ」

「……」


 彼女は一考するように無言で指を口元に沿えて視線を下げた。

 気に入らなかったかな、と俺が思うと、彼女は子猫が鳴くような小さな声で愛しそうに「すおう」と繰り返してから、微笑を返してくれた。


「承りました。ではこのスオウ、身命を賭して旦那様にお仕えいたします。以後、戦闘から家事、夜のお相手まで、全てこのスオウにお任せくださいませ」


 クールな笑みを作るアメジスト色の瞳の奥に熱い使命感を感じる表情で、彼女はわずかに腰を折った。

 瞬間、俺は恋に落ちてしまった。


「それで旦那様。これからの方針をお尋ねしてもよろしいでしょうか?」

「ほ、方針?」


 俺好みのとびきりの美少女に囁かれて、つい慌ててしまった。


「はい。私の使命は旦那様の望みを叶えること。旦那様がスローライフを望むなら私は畑を耕し家畜の世話をいたしましょう。英雄となることを望むなら私は旦那様の剣となり盾となりこの身が滅ぶまで戦いましょう」


 そこまで言われて、俺は返事に困った。


 ――そういえば、俺はこの世界で何をしたいんだ?


 勝手に召喚されて、追い出されて、あえて言うなら元の世界に帰ることだろうか。

 とはいえば、社畜ライフに戻るのも気が乗らない。

 なら。

 伏せた顔を上げて、周防に伝えた。


「それを探したい」


 まっすぐ彼女を見据えて言った。


「俺は異世界からこの世界に召喚された異邦人だ。俺はこの世界のことを何も知らない。だから、この世界を旅してまわりながら、周防の姉妹機を作って、この世界でどう生きるか決めよう。一緒に、探してくれるか?」


 俺の問いかけに、周防は微笑を浮かべて頷いてくれた。


「私の身も心も旦那様のもの。ならば異論などあろうはずもありません。それに」


 一拍置いて、彼女は言葉を継いだ。


「私の姉妹機を作ってくださるというのは、個人的にも嬉しいですよ。旦那様」


 より深い微笑に、俺のハートは撃ち抜かれた。

 2・5次元美少女のスマイルは反則です。

 リアルの人間にはない魅力と美力に溢れていてやばい。

 そんな甘い気持ちに水を差すように、部屋のドアがノックされた。


「すいません、さっきから話し声が聞こえますが誰か連れ込んでいるんですか?」


 店主の声に俺は飛び上がった。

 俺は一人分の宿泊料金しか払っていない。

 周防はたった今、創造したメイドロボだけど、そんなの他人にはわからない。

 はたからみれば、俺がどこのお屋敷のメイドを連れ込んで逢引しているようにしか見えないだろう。


「周防、隠れて」


 俺が小声でお願いするも、周防は慌てず、眉一つ動かさなかった。


「では旦那様のストレージの中に」

「え……え?」


 試しにストレージを起動させると、周防はあっさりと消えた。

 俺がドアを開けてあげると、店主は怪訝そうな顔をした。

 部屋の中を見回して、ベッドの下を確認。それから窓の外へ視線を投げるもここは二階だ。


「誰かいたのではないので?」

「いえ、明日からの方針について悩んでいただけです。俺、声にした方が考えたまとまるタイプなので」


 店主は疑惑の眼差しを向けながらも納得してくれたらしい。

 失礼しましたと言って、部屋を出て行ってくれた。


「……ふぅ」


 胸をなでおろした。


 ――ていうか、メイドロボってストレージに入れられるんだな。

『はい。我々メイドロボはストレージの中に住むことができます』


 ――話かけられるの!?

『はい』


 ――え、じゃあ聞くけど、ストレージの中ってどうなってるの?

『そうですね。とてもラグジュアリーな部屋になっています。私はこちらで寝泊まりしてもいいでしょうか?』


 ――俺の部屋よりリッチ!?

『嘘です』


 ――嘘かよ!?

『メイドロボジョークです。お楽しみ頂けましたか?』


 ――くっ、美人でセクシーでクールなのにお茶目って完璧か……。

 胸と股間のキュンキュンが止まらない。


『ストレージの中にいるときは旦那様と周囲の状態がなんとなくわかると言いましょうか。五感を共有している、というわけではありませんが。状況は私にもわかると思ってください』ズズ

 ――今、紅茶をすする音が!? ねぇ本当にそこ部屋になってない!? しかも上等な。


『旦那様。秘密は女性のアクセサリーなんですよ』サクサク

 ――今度は上等なクッキーを食べる音がするんですけど!?


『そんなわけがないでしょう』パチン『ん、あぁ~』

 ――指パッチンの後に肩を揉まれているよな!? 絶対そうだよな!?


『旦那様は想像力が豊かですねぇ。スオウは感心です。しかしとりあえず』


 突然、ベッドの横に周防が現れた。


「え、ストレージから勝手に出られるの? そういう感じなの?」


 という俺の感想に答えることもなく、周防はベッドで横になった。


「今夜は、旦那様の体を温めさせて頂きます。さぁ、こちらへ」


 その一言で、俺の疑念は全て消し飛んだ。

 もう、ずっとはち切れんばかりだった欲望を抑えるのはもうとっくに限界で、俺は炎の灯りに誘われる虫のようにふらふらとベッドに歩み寄った。服をゆるめながら。


   ◆


 翌朝。

 俺は全身に男の自信を漲らせながら宿屋を出た。


 ――ふっ、朝日がまぶしいぜ。


「旦那様は賢者モードになると勇ましくなるのですね。覚えておきます」


 隣では30年分の衝動を全て受け止めてくれた愛しの周防がクールに佇んでいる。


 ――今日も綺麗だなぁ。


 俺は今日から、この子と一緒に冒険をするんだ。


「よし、じゃあ行くぞ周防」

「はい、旦那様」


 こうして、俺らはこの世界への一歩を踏み出した。




※試し書き 人気作になったら本格投稿したいです。

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巻き込まれ召喚されたのお前らなんだけど?30歳の逆転人生! 鏡銀鉢 @kagamiginpachi

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