概要
落雷に巻き込まれた17歳の少年。
病院で目覚めると、少年は彼ではない彼になっていた。
少年の中に現れた彼は、昭和20年を生きていた海軍上等飛行兵曹。
70余年の時を超えて、その記憶と魂だけが少年の体に入り込んでしまったこの謎の現象に、彼は当惑し、そして絶望する。
行く先々で目の当たりにする、魔法世界のような「現代」。
彼は、幼馴染の少女と親友の少年の力を借りて徐々にこの「現代」を知っていくが、その「死を覚悟しないでよい世界」の有り様に、「これが我々が死しても護りたかった世界か」と落胆する。
居なくなってしまった本来の「少年」がどこへ行ったのか、なぜこの不可解な現象が起きてしまったのか、その謎に挑む彼らの姿を通して、「人を想うこと」、「愛する者を護ること
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!後世に残したい本物の輝き ~尊く清らな物語~
彼の「心」は迷子になりました。
昭和20年、戦渦の空。
零戦を駆る最中に起きた突然の不思議な出来事。
彼の「心」が不時着した先は……、
ーなんと、それから70余年後の平和な現代日本を生きる、ある男子高校生の「体の中」だったのでした。
「己の命を散らしても愛する者を護る」
その覚悟を宿した彼の目に映る、現代日本の軽薄なまでの有り様に失望しつつも、彼の「心」は帰り道を探し始めます。
元の己の体に…。
元のあの時代に…。
そして、居なくなってしまっている男子高校生の「心」の在り処も、ともに…。
その男子高校生の友人らの手を借りながら…。
過去と現代が交錯するこの物語。
その時…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ひたすらに尊く、美しい物語です。
カクヨム掲載の小説を読んで目から変な汗が出てきたのは、この作品が二作目でしょうか。
書き手の視点から見ると、ストーリーもさることながら、登場人物や世界の設定、伏線の張り方など、小説としての完成度も非常に高いレベルでまとまっていると感じました。
アニメでも実写でもいいので、この作品を映像化したら結構ヒットしそうな気がするのですが……あるいは、次のカクヨムコンの現代ファンタジー部門に出してみるとか?
自分が出版社の編集者だったら、ぜひ推したい作品です。
<追記>
本作品は秋次郎サイドの物語ですが、出来れば悠真サイドの物語も読んでみたいですね。 - ★★★ Excellent!!!戦時中から七十年の時を越えた青年の、数奇な運命。
時は昭和20年。海軍上等飛行兵曹としてお国のために戦っていた17歳の青年、秋次郎は、零戦に乗っていたところを謎の光に包まれる。
そして気がつけば彼は、七十数年の時を越えていたのです。
時を越えたと言っても、タイムスリップとは少し違います。秋次郎はこの時代の高校生、悠真の体に、魂が入り込んでしまったのです。
そこはもう戦時中の日本ではなく、平和そのもの。見たこともない道具がたくさんあり、元々いた日本とは文化もまるで違い、戸惑う秋次郎。
だけど一番頭を悩ませたのは、人間関係。自分は悠真ではないのに、両親や友達とどう接していけばいいのか。
迷い考える秋次郎ですけど、この時代で今まで知らなかった価…続きを読む - ★★★ Excellent!!!戦時中から現代へ。時代を越えた想いが生み出す物語
戦時中、零戦に乗っていたところで謎の光に包まれ、気がつけば見知らぬ場所で目を覚ました川島秋次郎海軍上等飛行兵曹。
しかし知らないのは場所だけではなく、時代もそうでした。彼が目を覚ましたのは、自分たち読書から見ると現代。しかも秋次郎の意識はとある少年の中にあり、彼の変わりに生きていくこととなります。
言うならば、異世界転生の逆のようなパターン。ですが、チートや無双のような話ではありません。
命をかけて戦っていた戦争も、過去のものとして見ることで感じる、当時とは違う思い。時を越えても、変わることなく抱き続ける、大切な人を思う気持ち。そして、この時代で新たに出会った人々。その一つ一つが、丁重に書…続きを読む