概要
喉の奥に、あの人の植えた種が眠っている。
まだ世界が平和だった二〇一九年五月のこと。都内屈指のゲイタウンである宿木橋のバーで知り合った「前髪系」の二人、生江夕一郎と靴和勇一郎。出会ってすぐに意気投合して始まった初々しい関係は、病禍蔓延る世界の中でも着実に重なり厚みを増して、二年後の現在ではもう屋外でさえ愛し合うほどに熟れた恋人同士となるにいたっていた。靴和は時代遅れと恥じながらもブリーフを愛して穿く夕一郎のフェティシズムを受け容れ心から愛し、夕一郎はちょっと困った変態である靴和に自身の全身全霊を傾けて応えて、二人の幸せな時間はこの先も途絶えることなく続いて行くに違いないと信じて疑わなかったのだが。
「今度、両親に会ってくれない?」
靴和からのプロポーズを受けた直後から、夕一郎の身体には異変が生じた。喉に何か埋め込まれたかのような
「今度、両親に会ってくれない?」
靴和からのプロポーズを受けた直後から、夕一郎の身体には異変が生じた。喉に何か埋め込まれたかのような
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?