第10話 候補地を見つけた
どちらかと言えば皆の意見の中間な場所を探していた僕は、ココが良いんじゃないって場所を見つけた。一旦馬車を降りて、馬達を解放して水を飲ませる。
その場所にはソコソコの幅(凡そ二十メートル)の川が鉱山側から流れて来ていて、北(海側)に向かって伸びていた。僕はバイトから聞いていた日本の城の様に、町全体を堀で囲みたかったからこの水量の豊富な川を利用出来ると思ったんだ。
「僕はココが良いと思うんだけど、どうかな?」
「フム、ここならば十キロ四方を区画しても水に困る事は無さそうですな。川も町に取り込むんでしょう?」
アレグーラがそう聞くから僕は頷いた。
「私もココなら良いかと思います。目測ですが鉱山までも凡そ三キロと近く、海までは凡そ三十八キロありますから、潮の影響も受けにくいでしょうし」
レイラもそう言って賛成してくれた。
良し、それじゃココにしよう。僕はスキルを使って先ずは地面を整えた。
「スキル【構造改革】変革」
川が町の西側から二キロの地点に流れている状態で区画を決めた。十キロ四方で地面を盛り上げる。コレは川が氾濫を起こしても大丈夫な様にだ。そして、ココからはギフトの出番だ。
盛り上がった地面に手を当ててお馴染みの
「ギフト【こう】より【硬化】」
で地面を硬くした。そして、更に
「ギフト【こう】より【
で五十人の
「この区画を町にしたいんだ。川を利用して堀を作るのと、町中に川の支流を作るのと、それから仮にこの場所に屋敷を建てて欲しい。王宮はまた別の場所に建てるから仮に僕達が住む場所をお願いするよ」
「ハイ、畏まりました。リッター様」
そして僕はバイトに言って今までに集めた木材も出して貰う。大量にあるけど、町を作るにはまだまだ足りないから、明日はまた森に行って木を取って来なくちゃね。それから僕は更にギフトを使用した。
「ギフト【こう】より【
現れたのは三十人の
「ここから見えるあの鉱山に行って、町を作る為に必要な鉱石を採取してきてくれるかな。暫くはココと鉱山を往復して、鉱石を集めて欲しいんだ」
「リッター様、畏まりました」
僕はスキルで
そして、
「ゴメンよ、集めた素材を置いておく倉庫も建ててくれるかな?」
「勿論です、リッター様。直ぐに取り掛かります」
うん、本当に頼りになるよね。それにしてもこのギフトは使用時に何も減っていかないんだけど、良いのかな? スキルだと魔力が減って行くんだけど。まあ、女神様から頂いたモノだし有効に活用させて貰おう。
それから僕は子供達が川に落ちない様に更にギフトを使用した。
「ギフト【こう】より【構築】」
このギフトで川の両岸に柵が出来上がった。コレで子供達も外で遊べるよね。それからアレグーラと相談して、町の東側は農地にする事にしたから、またギフトの出番だ。
「ギフト【こう】より【
十人の
「リッター様、お任せ下さい」
そう言って意気揚々と歩いて行く
だって見た目は人そのままなんだしね。いや、でもそれじゃあ子孫が出来ないからダメだと気がついたけどね。彼らに生殖機能があれば良かったんだけどね。
その夜にそんな話をバイトにしたら、呆れた様な顔をされた。そして、こう教えられた。
「リッター様、ご自分のスキルをお忘れですか?」
「えっ、僕は自分のスキルを忘れたりしてないよ。僕のスキルは【構造改革】……、っそうかっ! 忘れてたよ、バイト」
そう、完全に忘れていたんだ。自分のスキルが何を出来るかを。そんな自分自身に呆れていたら、バイトが続けて教えてくれた。
「あのゴーレム達は自我がありますから、リッター様のスキルによって、人になっても良いと返事をしてくれた者達だけ、リッター様のスキルで変えて領民になって貰いましょう」
「そうだね。意見を尊重してそうする事にしよう。町が出来上がったら聞いてみるよ」
「それが良いでしょう」
やっぱりバイトは凄いね。的確な意見を僕に言ってくれる。それから、エロチズム講義を僕は受けてから、就寝したんだ。
翌朝の事だった。鉱山から帰ってきた
「おはようございますだ。ワシらは海向こうの大陸から良質の鉱石を求めてあの鉱山に移り住んだ、ドワーフとノームの一族の代表で、ワシがドワーフのガインと言いますだ」
「私はガインの妻でノームのモームですだ」
「リッター様、鉱山に集落がありましたので寄ってみたら、ドワーフ、ノームの一族が住んでいました。そこで、ココはリッター様の領地だと伝えたら、ご挨拶したいと言うので連れて来ました」
「おはようございます。大陸から来られたんですね。僕はこの魔境の領主兼国王になるリッターと言いますだ、じゃない、言います。皆さんは鉱石を求めて来られたそうなんですが、その鉱石はどうされてるんですか?」
「はい、ワシらは掘った鉱石を加工して大陸の他の国々に買い取って貰ってますだ。今までリッター様の領地だとは知らなかったから、勝手に掘って勝手に加工して売ってしまっただが、どうかワシと妻のモームの命だけで許して欲しいだ」
「何を言ってるんですか、命なんて要らないですよ。ソレよりも、領民になってくれますか? 住む場所は鉱山の方が良いんですよね? でしたらそのまま今の場所に住んで頂いて構いません。それから、鉱石を使って作った加工品を町が出来たら町でも売って欲しいんですが、可能ですか? いるようなら工房なんかも町に作りますから。それと、領民になったら申し訳ないけど、税を支払って貰わなければならないんです。鉱石を加工して販売した売上の五分(五パーセント)を僕に納めてくれますか?」
僕がそう言うと二人はポカーンとした顔で、言った。
「コウっちの言った通りだっただ。リッター様は何て寛大な方だだ。ワシらはリッター様の領民になるだ。町作りに先ずは協力するだよ。鉱石はワシらが掘るだ。コウっち達はソレを運んでくれたら良いだ。ソレと税は売上の一割を納めるだ。イヤ! リッター様がそう言ってもダメだだ。一割でも少ないだよ」
そう言って頑なに一割を納めるというガインに僕は負けてしまった。流石、頑固一徹と言われているドワーフ族だった。更に僕は聞いてみた。大陸から他にも移住している人は居るのかなって。
「アッチの山にマ族が移住してるだよ。彼らはコッチでは魔族なんて呼ばれて迫害されやすいから、隠れているだが、ワシらが口利きしてリッター様の領民になるように説得するだ」
「マ族なんだね。魔族じゃなくて」
「ンだ。魔力がただ強いだけで普通の人だで。中には角が生えてるのも居るだが、気の良いヤツが多いべな」
「うん、それじゃあガイン。よろしく頼むよ。僕は迫害なんか絶対にしないから、その事も伝えてね」
「分かっただ。リッター様」
こうして、新たな領民が増える事になった。コレは町作りを急がないとダメだね。
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