第16話 独自の冒険者ギルド

 三人について話せる部分だけ話をして、今は僕に仕えて貰っていると説明してから、ギルド発足についての話合いを始めたんだ。


 先ずはランクについて。


「ランクについて説明するね。今から新しく発足するから、ランクも他とは違う形にしようと思ってるんだ。バイト、お願い」


「はい、リッター様」


 そしてバイトが大きな紙を壁に張って説明しだした。紙に書いてあるのは、


H級 未成年(八歳以上)で冒険者見習、町中での依頼のみ

G級 成人冒険者見習、町中での依頼のみ

F級 初心冒険者、薬草採取や低級魔物討伐

E級 低級魔物討伐、護衛など

D級 護衛、中級魔物討伐

C級 中級〜上級魔物討伐、護衛

B級 上級魔物討伐、要人警護

A級 騎士爵相当、要人警護、防衛依頼


H級 木の鑑札。ギルドから必要な物を無料貸与。宿泊施設も無料で利用可能

G級 H級に同じ。

F級 鉄の鑑札。ギルドから必要な物を無料貸与。宿泊施設も低価格で利用可能

E級 青銅の鑑札。マジック袋を貸与。低級だが質の良い武防具を安く買える

D級 真鍮の鑑札。マジック袋を貸与。中級武防具を安く買える。

C級 銀の鑑札。ギルド斡旋の鍛冶師から安く武防具を買える

B級 白銀の鑑札。C級に同じ。

A級 聖金の鑑札。リッターセンキロ、カオウメイジン国の宿屋は全て無料で宿泊可能


ᕼ級で真面目に依頼をしていたら、成人後にF級に昇格。G級からF級は無試験で、ギルド判断で昇格。E級以上は試験が必要になる。

試験はバイト、ヤエ、カオリが行う。


 そう書かれている。そして、バイトが説明をする。


「この紙に書いてあるHやGっていう文字は、俺達の国の文字でアルファベットと言う。俺達がいた国ではランクの表し方が色々あるんだが、コレが分かりやすいだろうと思い、リッター様と相談して決めた。何か質問があるだろうか?」


 バイトがそう問いかけると、クノールが聞いた。


「我らギルド運営に関わる者は何級相当になりますか?」


「良い質問だ。クノールは金剛石級だったな。実は紙には書いて無いが隠れ最上級ランクで、S級がある。今回、クノールを含めて三人が金剛石級だから、その三人はS級だな。五人の聖金級がA級になる」


「なるほど、分かりました。S級ですとどうなりますかな?」


「そこは僕から説明するよ。爵位が要るなら男爵位を。爵位が要らないならソレ相当の欲しいモノを授与する予定なんだ。クノールはどう?」


「リッター陛下、私は爵位は必要ないです。ソレよりはカオウ陛下にお願いが。私は果物が大好きでして、出来れば家を建てる土地を頂いて、果樹園などをしたいのですが……」


「アララ、カオウにクノールを取られたね。だって、カオウ。どうかな?」


「クノール。勿論望み通りにしよう。ちょうど良い土地があるのだ。会議が終われば担当の者に案内させよう」


「有り難き幸せにございます。カオウ陛下」


 間にそんな話をはさみながらも会議は滞る事なく進み、最終的にはS級二人とA級二人がギルド幹部としてカオウメイジン国へ。S級一人とA級三人がウチの国でギルドを立ち上げる事になったんだ。

 それから、アスプリンが連れてきた二十七名の事務員は十三名がウチのギルドに。十四名がカオメイジン国に行く事になった。

 何故かバイトがギルドの受付は若い女性が良いと力説したから、三名ずつ若い女性に行って貰う事になったよ。

 それから、足りない人材は現地募集でという話になって、ギルド建物の場所、建設の説明などをするために二手に別れたんだ。

 僕は王宮で留守番なんだけどね……


 カオウは一足先に国に帰ったよ。お互いの王宮内に行き来する為の部屋をカオリが作ってくれたから、助かってるんだ。他の皆は馬車移動だけど、景色や土地を知ってもらうのも大事だからね。

 街道は聖別してあるから魔物が来ないけど、引退した冒険者達が退屈だとか言わないか、少し心配だけどね。

 

 そうして、一月半が過ぎた頃に建物が出来て、職員も揃い晴れて冒険者ギルドが発足されたんだ。

 先ずは他の国でランクがある冒険者にウチのランクを取得してもらう為に、バイトやヤエ、カオリに奮闘してもらったんだ。ウチで二日、カオウメイジンで二日。計四日かけて皆が新しい冒険者ギルドのランクになってもらったよ。

 戸惑う人も多かったけれど、大きな混乱もなくて無事に終わったよ。


 H級には親が居ない、若しくは片親だけの子供が申し込んでくれたようだよ。ウチで十三人。カオウメイジンでは十八人いたんだって。カーナと二人でその子達に会いに行ってきたよ。そして、スキルについて改めて教えて上げたんだ。ウチもカオウの国も、庶民でもスキルが使える事を公にしているけど、識字率もまだまだ低いから中々広まらないんだ。今後の大きな課題だね。子供達は自分達にスキルがあるのを知って喜んでくれたよ。


 こうして、他の国と違う冒険者ギルドが無事に発足されたんだ。何故か噂を聞いて、他所の国から冒険者がやって来ているらしいけど、僕達の所為じゃないよね? いや、そうなのかな? 既存の冒険者ギルドからクレームが来たら教えてねとはギルドマスターに伝えてあるけど、今はまだクレームが来てない様だから、静観しておこうと思ってます。


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