第3話 魔境までもう少し……
取り敢えず馬車の改造をしなくちゃいけない。僕は自分のスキルを馬車に発動した。
「スキル【構造改革】構造拡張」
僕のスキル【構造改革】は、対象の構造を理解し、自分の好きな様に改革出来るスキルだ。今回は馬車の中を亜空間を使って広くした。凡そニ百平米の広さにして、部屋割りも行った。十人が入っても余裕がある大浴場を二つ。トイレは全部で八室。僕の寝室、カーナの寝室、バイト、ヤエ、カオリ、アニーの寝室は個室にした。
子供達は広い部屋で一緒に寝たいと言うから、二十人が寝てもまだ余裕がある部屋に、セミダブルベッドを二十設置した。寝ぼけて落ちない様に柵付きにしたよ。
馬車に入り部屋を見て目を丸くしている子供達を見てると嬉しくなってきて、ついつい要らない部屋を作ってしまった。
遊戯室には子供達が遊んでも危なくない様に、大きなクッションを沢山置いて、疲れてそのまま寝てしまっても大丈夫な様にしてある。
それから、お腹が空いているだろうけど先ずはお風呂に入って貰う。男の子達は僕とバイトが、女の子達はカーナとカオリが連れて一緒に入った。
何日も水浴びすらしていなかった子供達は体から凄い垢が出てきたけれど、バイトと二人で頑張って皆をキレイにした。
お風呂から出たらレイラ夫人がスキル【裁縫】で作ってくれた新しい服を子供達に着て貰った。
うん、皆が見違えるほど良い笑顔になったね。男の子は全部で八人。女の子は十二人居た。
それから食堂に移動して、ヤエ、ナポリン、アリナミーンの三人が作ってくれた料理を皆で食べた。
満腹まで食べて直ぐに寝てしまった子が六人いたけど、給女達が寝室に移動させてくれたよ。
そして、子供達のリーダーが僕に真剣な顔で話しかけて来たんだ。
「リッター様、俺達を救って下さり有難うございます。そして、コレはお願いになりますが、俺達の名付け親になっていただけませんか? 女子の方はカーナ姐さんにお願いしたいんです」
「えっ、良いの? 今なら好きな名前を名乗れるんだよ。僕やカーナが気に入らない名前を付けたら困るでしょ?」
「いえ、そんな事はありません。リッター様やカーナ姐さんが付けてくれるなら、皆だれも文句はないでしょう。どうか、よろしくお願いします」
そんな風に言われて僕とカーナは顔を見合わせた。けれども、二人で頷きあって返事をした。
「今日は既に寝ちゃった子もいるから、明日の朝に全員が揃ってる場所で名前を言うよ。君は文字が書けたり読めたり出来るかい?」
「いえ、俺も文字は書けないですし、読めません」
「そうか、それじゃ道中は十歳以上の子には読み書きも覚えて貰おうと思う。ただ、二種類あるから大変だよ。ボーラギ王国の言語と異世界の日本という場所の言語を勉強してもらうからね」
「はい、頑張ります」
「うん、それじゃあ今日はもう皆も疲れただろうから、寝室で休みなよ。明日はヤエが起こしに行くまでは寝てて良いからね。おやすみ」
そう言って僕は子供達を寝室に移動させた。そして、カーナと二人で頭を抱えた。
「ど、どうしよう、カーナ。八人もの子供の名前を考えなくちゃいけないよ」
「あら、私なんて十二人もですよ。リッター様よりも四人も多いなんて」
「うーん、良し。頑張って明日までに八人の名前を考えよう。僕は部屋で考えるよ。おやすみ、カーナ」
「私も十二人の名前を考えますわ。お母様と相談して。皆が気に入ってくれる良い名前を。おやすみなさい、リッター様」
そして、今日はもう進むのを止めて馬車で皆が休む事にした。迎えた翌朝。
ヤエが起こしに行くと子供達は全員が目覚めていたそうだ。キラキラと目が輝いていて、夢じゃなかったなんて言ってる女の子も居たらしい。
皆が顔を洗って食堂に揃ったから、食事を食べる前に子供達に名前を付けてあげる事にした。先ずは男の子から発表だ。年齢順に座ってくれてるから、歳上の子から昨日の夜遅くまで考えた名前を発表した。
リーダーをしていた男の子からだね。
ハンド 十三歳
タンラー 十一歳
ラック 九歳
インチ 八歳
レーバー 六歳
ベット 五歳
ハーブ 四歳
ナット 三歳
八人に名前を告げると皆がリッター様、有難うって言ってくれた。どうやら合格したようだ。そして、カーナが緊張しながら女の子達に名前を言う。
エスア 十二歳
プリマ 十一歳
ベーラ 十歳
エスワ 九歳
アイデ 八歳
カビーナ 七歳
シャリイ 六歳
ユービ 五歳
イブ 五歳
ハーミー 四歳
ジュリ 四歳
パル 三歳
女の子達もカーナにお姉ちゃん、有難うと笑顔でお礼を言っている。こうして、僕達は無事に任務を完了して、ホッとしたんだ。それから、朝食を皆で食べて、三歳から九歳までの子は遊戯室にナポリンとアリナミーンが連れて行った。
十歳以上の子達はセーデスが先ずは読み書きを教える事になった。だから空いてるスペースに直ぐに机と椅子を用意したんだ。
それからアレグーラ達が乗っていた馬車をサーロン、パース、フェイターの三人に任せて、僕達は出発した。もう馬車内で休めるから話し合って途中の村にも寄るのを止める事にしたんだ。
バイト、ヤエ、カオリがその昔に通った、馬車が通れる裏道があるそうだから、案内して貰いながらその道を通る事になった。
道中ではゴッブリーンやボアーク等の魔物が襲いかかってきたけれど、バイトによって瞬殺されていた。ウールフ等の魔獣はヤエとカオリが丁寧に仕留めて素材を取っている。領地開拓に必要だからね。
僕とカーナはアレグーラ夫妻と魔境開拓について話合いを重ねているんだ。入口にある森をどれ位切り開くか? とか、魔境の王と言われる真竜とは話合いが出来るのか? 領地では先ずは何が必要か? 四人で意見を重ねて大まかな取り決めをしていってるんだ。
着いたら予定変更もあるだろうから、臨機応変に対応する事にもなるだろうけどね。それでも大筋を決めておくのは悪い事じゃないからね。
魔境と呼ばれる場所はこちら側から向かうと凡そ三十キロ四方の森が先ずあって、その奥に平地の草原が横三十キロ、縦四十五キロに渡ってあるそうだ。それから、草原の奥に岩山があってその岩山を超えると海が広がってる。
って言われてる。誰も奥まで行った事が無いから正しいかどうかは分からないけれどね。もっと狭いかも知れないし、実はもっと広いのかも知れない。どちらの場合も想定して計画を立てていくよ。
そうして、馬車で移動して十五日。明日には魔境の入口と言われる森に着くって場所まで、僕達はようやく到着したんだ。
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