第14話 ギフト【こう】より【鉱化】

 ここはリッターセンキロの王都センキロにある王宮のとある一室。ここに入れるのは元鉱夫だった者五名である。

 ソコにせっせと大小様々な石を運ぶ三名と、運ばれた石を大きさ別に分けて、台に並べる二名がいた。

 そして、国王であるリッターが部屋に入って来た。


「やあ、どうかな? 順調に出来てるかな?」


「陛下、ご安心下さい。全て一日で順調に出来ております」


「そうなんだ。良かったよ。女神様に貰ったギフトだけど、本当に出来るのか不安だったからね」


「アチラの箱をご覧下さい。全てきんに変換されております。表面だけでなく、中まできんになっております」


 言われて箱の中を見るリッター。中に入っているきんを手に取りその重さに笑みを浮かべる。


「うん、ちゃんときんになってるね。それじゃあ、まだまだ足りないから暫くは変換を見守っていてね」


「はい、畏まりました」


 その返事を背に部屋を出ていったリッター。リッターが出ていった後に部屋に残された五名が口々に喋り出す。


「本当に凄いギフトを陛下は女神様から授かったな」


「ああ、只の石がココに置いておけば一日できんに変わるなんてな」


「ギフト【鉱化】って仰っていたな」


「陛下曰くきんだけじゃなく他の物にも出来ると仰っていたし」


「まあ、コレで財政が何とかなっているんだから、陛下サマサマだよ。さあ、俺達も手を動かそう」


「おう、そうだな」


 彼らの会話から分かる通り、リッターは女神様からのギフトを使用して、きんを作っている。ギフト【こう】より【鉱化】は物を自分が欲しい鉱物に変換させる。今回は国の経済を回すためにきんを製造しているのだが、落ち着いてきたら他の鉱物にも変換させようとリッターは考えていた。聖金、聖銀も作れるのでソレで聖なる武器、防具を作って大陸にいずれは輸出しようと考えている。それから、金剛石。コレは宝飾品としても勿論だが、魔具にエネルギー源としても利用出来るとカオウから聞いたので、既に別室で少しずつ作っていた。金剛石をエネルギー源にした場合、込めた魔力が循環して、半永久的に魔具を動かす事が出来るそうなのだ。魔物や魔獣から取れる魔石をエネルギー源にした魔具しか知らなかったリッターは、ソレを聞いて喜んだ。出来た金剛石を幾つかカオウにプレゼントしたので、カオウも喜んでいた。

 カオウはこれで水田に送る水を自動制御する魔具を作れると言っていた。

 

 変換された石金いしきんは小さな物はそのまま重さを計って小粒金に。大きな物は加工して小穴金や小金、中金、大金にして、加工により出たクズ金は溶かして板金にしている。


 ドワーフ、ノーム一族を通じて大陸との取引を少量ながら始めているので、金の製造は急務であった。鉱山からも取れるのだが、絶対量が足りないので、女神様から授かったギフトを使用してみたリッターだった。

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