第4話 サプライズ


 薄かった霧は雨になり、フロントガラスにたまりをつくる。しとしとと降る小雨のなかで、ひたすらページをめくった。五章、六章、七章に入り、午前中の太陽光を松果体に当てて目覚めさせるくだりを読んでいた。ボンネットに衝撃があった。あごを支える指がガクンとズレて、いらついた。


 ワイパーをつけて往復させると、クリアになった視界に親父の生首が見えた。目玉がつぶれてはみ出していた。盲目になった親父の首は、かしげるみたいにナナメにボンネットに乗っていて、シュールだな、と思う。額に空いた穴から中身がもれていた。


 ハマーの脇からマダラと等々力が飛び出てきて、サプラーイズ。口の動きがそう言っていた。


 俺もとりあえず首を傾げて、なんとなく本に視線を落とすと、

『願望が達成されることを私は知っています』。

 青いペンで、そう書き込んであった。

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