第9話 冥土



 家は綺麗によく燃えた。変な造りの家だったから、ちゃんと燃えるか気になったけどちゃんと燃えた。

 周りは更地で、風も弱いから、俺の実家が炭になるのを少し離れて眺めた。


 たまに爆発音がして、屋根や壁が崩れる。そのたびに炎があがる。火花も散る。派手だった。放火犯の気持ちが今日はよくわかる。


 写真は二枚とも等々力にあげた。上半身を裏返して、スーツの胸ポケットに入れた。あいつがなにを信仰していたかわからないけど、足しになればいいと思った。


「等々力、ヒデヨシみたい」

「それはどっちでもねえわ」

「あれ、ノブナガ?」

「燃えてるのはね。たぶんお前が言いたいのはミツヒデ」

「あ〜それ」

 俺に向かって思いきり指差す。マダラの前髪が火事の熱風で揺れていた。


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