誰の中にも在る『マネキン』の示す『人』のエッセンス

マネキンというメタファーを駆使してこの物語の中で語られるのは、誰の中にでも大なり小なり必ず在るもの。でも、それを実直に私の中にも在ると、声を大にして宣言してしまうには、どこか憚られる、タブーのような、触れがたい人としてのエッセンス。

嘘、偽り、虚勢、秘匿、誇張、諸々・・・

誰しも胸中に、どんな時も、どんな相手にも、少なからず抱くもの。

別に実直でなくてもいいのだ。
在るがままを受け入れて、在るがままにそんなエッセンスを晒せばいい。
この物語は、そんなタブー視されるエッセンスの呪縛から、私たちを解放してくれる。
ある種、心の救いだ。

過ぎていく日々にどこか息苦しさを感じているなら、この物語を覗いていけばいい。
読了した時、そよ風にたゆたう羽毛のように、軽やかな気分にさせてくれるから。

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