ヴァレンヌ、探訪編
第3話①
東へ、東へ。スマホはもちろん使えないし、地図をたまたま持っているなんてこともない。ただただ毎朝太陽の方向へとのびる道を進んでいくだけ。車で行っても遠い場所まで歩いていかなければならないのは地獄以外の何物でもなかった。ロべスがいてくれることだけが不幸中の幸いだ。一人だったらたった一日でギブアップしていたに違いない。
クレテイユ、シャトー・ティエリ、ランス。三つの大きな町を経由して、私たちはヴァレンヌの町にやってきた。オーストリアとの国境にある関所を目指す。そこで国王夫妻は入国審査を受けているはずだとロべスが言っていた。もし関所を通過出来てしまえば、二人はオーストリアという後ろ盾を得てしまう。そうすると、フランスからは王がいなくなり、国内はさらなるカオスとなること間違いなしだ。
終始、ロべスは私に優しかった。どんな人に対してもジェントルマンな彼が、私を特別視していないということは分かってる。でも、ちょっと魅力的っちゃあ魅力的だよね。
どうやって元の世界に帰れるのかわからないから、もしこのままずっとここにいるのだとしたら。ロべスと出会ったのは運命だったのかも、なんてね。
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