第5話①

 ロべスが持ってきていたロープで二人を柱にくくりつけ、私たちは話を始めた。

「どうして逃げたんだ!」ロべスが一番に口を開く。

「各名が起こったからって首都から脱走する国王なんて前代未聞だ!なんてことだ!情けない!」

「申し訳ない、申し訳ない、申し訳ない……。

 でも、仕方ないじゃないか。革命が成功して共和政が敷かれれば我々はどうなる?どのみち処刑されるんだから。」

 処刑!?

「そうだ、処刑される。でもその方法がもっとましだったかもな、脱走なんかしなければ。今のままではギロチン送りにする以外に道はない。」

「陛下は逃亡などしたわけではありません!……そうです、誘拐です。陛下は誘拐されたのです!」付き人が口をはさんだ。ロべスが言い返す。「お前は黙っとけ!」

「革命が始まったばかりだというのに、陛下はまた絶対王政の時代に戻すおつもりですか?フランスのためを思えば、国王の一存ですべてが取り決められる王政よりも協和政のほうがはるかにいい。国王陛下にとっては全くいいことはないが、仕方ないのだ。それが時代の流れというもの。王政はもう古いのです!」

「何を言うか。今の民衆たちは政治などチンプンカンプン。むやみに共和政にすれば民衆は混乱し、果てはフランス全土が混乱の渦に巻き込まれることになる。」

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