第4話
まずはロべスが付き人に声をかける。
「すみません、わたくし、ロベスピエールと申します。」
相手ははっとした表情を見せた。
「ロベスピエール様でございますか。して、何用で?」
「そちらのお方は、よもや国王殿下ではあるまいな?」
私はロべスがド直球に質問することに驚いた。もうちょっとオブラートに包めばいいのに。ルイさんもマリーさんも、あんまりびっくりさせたらかわいそうじゃん。
「お逃げくださいませ、殿下」
付き人は国王にささやいたつもりだと思うけど、私まで丸聞こえだった。たぶん、相当焦ってたんじゃないかな。
こんなに追いかけきゃいけない意味が私にはわかんない。いじめないであげてよ、と私は思う。きっと国王にも事情があるんだからさ、ここは話し合いで……。
そういうわけにもいかないんだろうね、わかってるよ、そのくらいはなんとなく。
国王夫妻は一目散に走り出した。追いかけるのは私とロべス。私の方が足は速かった。逃げる二人。そして私があとに続き、最後にロべス。私はマリーさんの左腕をつかんだ。グイっと体重をかけて引っ張り、私は後ろに倒れこむ。マリーさんの手は離さなかった。マリーさんと私は二人とも倒れこみ、驚いてスピードが緩んだルイさんをロべスがキックした。私はマリーさんに馬乗りになると、上半身だけはロべスの手助けをする。二人ともつかまえた。
よかった、運動神経だけは自信あるのよ、私。頭は悪くても運動できれば別にいい。何にも取り柄がないのとは大違いだから!わたし、すごいっしょ?
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