第8話②
「楠本さん、楠本さん!」
由美子先生の声で起きた。
あ、あれ、私今どこにいる……?
「当たってますよ、寝ないでくださいね。」部屋中が笑いに包まれる。
ここは、学校だ。私は授業を受けている。
私ははっとした。帰ってきたんだ!
「国王裁判でこの演説をしたのは誰ですか?何度も出てきた人ですよ。」
先生は優しい声で言った。
分かる。さっきまでその場所にいたから。さっき、ルイさんは死んでいったから。答えられる。
「ロベスピエール。」
そう口に出すと、先生は驚いた表情を見せた。
「正解です。寝てたのに分かったの?」
「え……だって、今さっきまでそこにいたから……」
「あい?何言ってるのw」
再び、笑われた。
夢だったのかな、それともロべスが言ったとおり現実だったのかな。わかんない。しかし私は、現実だったと信じる。
みんなのことが好きだから。怖い目になろうと、あの時ルイさんを思って泣いた彼のことを忘れたくないから。きっと家族のために国を捨てるという大きな決断をしたのであろうルイさんを忘れたくないから。
ねえ、また会おうね、ロべス。
理想って、遠いね。
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