こんな形から育つ愛もある。甘々な偽装夫婦の物語

幻のたまごをうっかり(笑)孵してしまったフィオナは、国の行く末を左右するといわれる幻竜のお母さんになってしまう。竜に良い成長をもたらすため、竜のエキスパートである騎士団長と偽装の夫婦を演じることに……!という、ドタバタな出会いからはじまるラブストーリー。

実は偽装や政略結婚ものという恋愛にあまり良い印象を抱いてなくて、『そんな形から入って本当の恋愛になんてなるんだろうか?』という疑問を持っている派でした笑。しかしこれがただの食わず嫌いだったことはすぐに思い知らされることに。「自分たちは本当の夫婦ではないのに」という罪の意識が芽生えるあたりからはもう、全力で2人の幸福を願うようになっていきました。だってそれ、もう十分に愛し合ってるじゃないですか!笑 むしろ普通の恋愛よりもじれじれでおいしい!

竜に関する設定も、無理やりなんだけどもやっぱり2人がやるしかない!という奇妙な説得力が満ちていて面白く、また2人の仲を応援する周りのキャラクターたちも濃くてさらに勢いが増していきます。ただしこれだけのサポートを受けている2人がまた、ドのつく清純なのです。そう――騎士団長もです笑 むしろ彼の方が恋愛に関しては下手なのか、しばしば起こるラッキートラブルにも赤面して大慌てしてしまうという可愛さ。序盤の見所ですね笑

しかし甘々ほのぼのだけでは終わらないのもこの物語の面白いところ。貴重な竜をめぐる他国との陰謀、そして何よりも大事な、ふたり自身の気持ちの整理。しっかりとシリアス、そしてその解決までを見せてくれます。やはり困難がないと、盛り上がりませんよね!

本編を読み終えて大満足したら、楽しい番外編もぜひ。こちらは作者さんの遊び心に満ちていて、二人の夫婦生活を垣間見ることができます。

見知らぬ他人を好きになり、結ばれていくことの尊さがじんと胸に沁みました。とくに寒い今年の冬は、ふたりのかわいらしい愛に包まれて身も心も温まってみてはいかがでしょうか?╰(*´︶`*)╯

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