ご当地・名古屋を舞台に、探偵と助手が怪異事件を追う!
名古屋では、原因不明の失踪事件や転落事故など、この世の尺度だけでは計り知れない事件が次々に起こります。
闇の感情を受信する主人公・服部少年を始め、探偵も、仕事協力仲間の和装美人も、みなさま特殊能力持ち。
頼りがいあるメンバーに支えられ、まだ自分に自信の持てない少年は、少しずつ自分自身とも向き合っていきます。
怪異を解決した先に、見えてくるものは何か。
今いる場所は、現世(うつしよ)なのか、幽世(かくりよ)なのか。
幾種類もの名古屋めしを堪能しながら、夕暮れ色に染まる世界を少年と一緒に味わってみませんか。
昼と夜の狭間である黄昏時。また、新たな不思議が目を覚ますかもしれません。
地方を舞台にした小説がたくさんある中で、名古屋を舞台にした小説はあまり見かけません。京都モノと比べると圧倒的に少ないですよね。きっと、お洒落な雰囲気がしないのでしょう…。
故郷大好き! というわけでもないのですが、名古屋出身の人間としては寂しい気持ちでおりました。
そんな時出会ったのが、名古屋を舞台としたこちらの作品です。
不思議な力で様々な事件、怪異を解いていくお話なのですが、私としては名古屋めしの登場に惹かれます。鬼まんじゅう、食べたいです。久しぶりに帰省したいです。
また、知っている地名、時折出てくる名古屋弁にもほっこりします。あれ、自分って意外と名古屋のこと好きだったんだなぁと気付かされました。
お話の本筋と外れたレビューになってしまいましたが、愛知、名古屋出身の方はぜひ読んでみてください。
そうでない方も、この作品を通して名古屋の魅力を知っていただけたら嬉しいです。
『3-9 選べるもの』まで読んでの感想です。
ここまでで93,350文字、何度も「見事だな」と思う箇所があったので、★3つで。
連作短編として各シリーズしっかりまとめつつ、全体を貫く謎があり、飽きさせません。各シリーズの終盤に至っても、これでもかと展開を盛り込んでくるのが本当に見事。
また本作は、名古屋グルメで「味覚」を、童謡によって「聴覚」まで刺激してきます。
ストーリーのおもしろさはもちろん、キャラクターの心理描写が繊細ですし、これまで書かれた長編を読むと、書き続けていく地力と引き出しの多さを感じる作者様です。
どういう形で完結するのか楽しみです。
名古屋の馴染みの場所、馴染みのグルメが描写されるすぐ側で展開される、不思議な物語。
物語の仕掛けの巧みさ、人物の立体的な造形、設定の説得力。たしかな筆力で描かれる物語に感嘆します。
謎の過去を抱えた心やさしい少年。有能で見た目イケメンだけどどこか残念な先生。頼りになるはんなりお姉さん。それぞれ味と背景があって魅力的。
わらべ唄や子供の遊びって、不思議と背中をぞくっとさせることがありますよね。それが効果的にちりばめられて、怪異への入口になっています。
飯テロつき。名古屋飯の虜になりそうです。
もちろん地元の方でなくとも楽しめます。ぜひトワイライトゾーン名古屋をお楽しみください。
樹神探偵事務所に持ち込まれる依頼は、いわゆる浮気調査や素行調査などではありません。霊にまつわる不可思議な事件。視えない者にとっては解決が難しい事件に、樹神先生と助手の朔が挑みます。
能力を使いながら怪異と対峙するシーンは、バトルものが好きな方も大満足していただけるほどハラハラさせられます。
人に対して良くないことをする怪異であっても、もとは現世で普通に暮らしていた人々。在りし日の記憶が紐解かれるとき、涙腺が緩んでしまいます。訳あって成仏できなかった魂を、彼らはどのように導いていくのでしょうか。
伏線回収が絶妙で、ほっこりするバディものをお楽しみください。作中に登場する調度品の美しさ、食べ物の描写も必見です。
名古屋を舞台に、現実と異世界の狭間で起こる怪異事件を、異能を持つ個性的なキャラクターが解決に導いていきます。
丁寧な情景描写はわかりやすくて、名古屋の風景は勿論のこと、鮮やかな色味を持つ異世界の情景が手に取るように浮かんできます。繊細な心理描写も秀逸で、感情移入を高めます。
主人公の服部少年はセンシティブで、何やらトラウマを持ってるのが窺えます。彼が抱える紙一重な危うさを、探偵の樹神先生や妖艶な美女の百花さんがサポートをして事件を追っていくわけですが、一筋縄ではいかないスリリングな展開が彼らを待ち受けています。どの登場人物も魅力的で、その世界にいつまでも浸りたい気分になりますね。
また、ご当地小説としての側面も色濃く、名古屋のグルメも紹介されていて、知識欲だけでなく食欲まで刺激されます。本当に美味しそうなので、夜中に読まれる方はご注意を。
書店に並んでいてもおかしくない本作を是非、ご覧ください。
『樹神探偵事務所』
密室殺人なんかとは縁がないけれど、この探偵事務所にはちょっと変わった依頼が持ち込まれる。
―――
失礼して本文から引用させていただきましたが、複数あるエピソードの序盤に主人公「服部 朔」くんの案内が。連続ドラマか連作小説か、これぞ探偵ものという雰囲気から始まります。
とは言っても、ちょっと変わった依頼というのが曲者。密室殺人なんかとは縁がないって、そもそも相手にしてないのではとツッコミたい。
探偵「樹神 皓志郎」が手掛けるのは、怪異による事件ばかり。服部少年は日々、その助手として走り回っているのでした。
物語は、いくつかの短編形式のエピソードで紡がれます。舞台となる名古屋の描写が色鮮やかに景色を思わせ、そこに起こる事件の闇との対比が重く心に圧し掛かります。
お話のあちこちへ大胆に、あるいは緻密に、結末へ向かう鍵が隠されています。明らかになっていく真相に向け、関わりそうなキーワードも多く見つかります。
樹神先生の助手気どりで謎解きなんぞしておりますと、意外な展開に驚かされますが。
登場する人物たちに、それぞれの人生を感じずにはいられません。多感で内罰的な服部少年が、人との関わりで変化していくお話でもあります。
しかしその実、服部少年は天然の人たらしなのかもしれません。関わった人々は程度の多寡あれど、彼に関わり続けようとします。
私の推しは、艶やかという言葉のピッタリな「百花」さんですが。
現時点で完結まで今少しのようですが、残りのお話でどう結ばれるやら見当がつきません。ドキドキしつつ、最後の景色を楽しみに待つこととしましょう。
ある日の夕暮れ、受験生・都築(つづき)務夢(つとむ)は《声》を聞いた。
ーーもういいかい。
ーーまあだだよ。
模擬試験の結果にむしゃくしゃしていた彼は、ついそれに応えてしまう。
数日後、『樹神(こだま)探偵事務所』に、務夢の姉・翼沙(つばさ)が現れる。失踪した弟を、警察とは別の方向から探して欲しいという依頼だ。
樹神皓志郎(こうしろう)探偵と高校生助手の服部朔(はじめ)少年は、捜査を開始するがーー
◇
現世と幽世と狭間の世界をめぐる、伝奇ミステリーです。
名古屋に土地勘はないのですが、街並みの描写や土地の言葉に親しみがわきます。各章で童謡や土地に関する信仰に触れられるのも、民俗好きとしては楽しい。
《声》の主が抱える悲しみや、それに応じてしまう人間側の葛藤、個性的な登場人物達が魅力的です。
あやかしミステリー好きな方にお勧めです。
名古屋に存在する、樹神探偵事務所。そこに持ち込まれる相談は、ペット探しや浮気調査ではなく、幽霊絡みの怪異。
警察や普通の探偵では解決不可能な怪異の相談ならお任せあれ。それが樹神探偵事務所なのです。
このお話は、登場人物がとても魅力的。
物語の語り部で、探偵事務所でバイトしている服部少年は特殊な力を使い、事件解決に一役買っていますけど、彼はまだ非力な子供。しかし事務所の主である樹神先生や、美しく優しい女性の百花さんなど、頼れる大人たちに支えられながら、成長していきます。
自分ではどうにもできない壁にぶつかった時、力になってくれる人がいるって、良いですね。
不思議な事件を解決するだけでなく、人間関係が丁寧に描かれていて、ヒューマンドラマとしても非常に面白いです。
そして本作を語る上で外せないのが、飯テロ。
ちょいちょい登場する、美味しそうな名古屋グルメ。
読んでいて、名古屋に足を運んでみたくなりました。
名古屋――。行ったことがない人にとっては、ありふれた都市の一つでしかないでしょう。しかし、そうでない人にとっては、土着の文化があり、方言があり、年季の入った店舗が竝ぶ、どこか郷愁を誘う場所かもしれません。
そんな名古屋の街角で、「もういいかい」「まあだだよ」という子供の遊び声や、かごめ歌、童謡などと共に差し込む茜色。その向こうにあるのは様々な怪異が存在する異色の世界です。怪異は、時として現実世界に浸蝕して事件を起こします。
そんな事件に立ち向かうのは、樹神(こだま)探偵事務所の探偵・樹神皓志郎先生と、その助手である男子高校生・服部朔くんです。とくに朔くんは、闇を抱えた者の感情を受信することのできる特殊体質でもあります。
子供の頃の何となく不安な感情に似た薄気味悪さと、郷愁を誘う雰囲気の中で起こる怪異。樹神先生と朔くんの凹凸コンビと和風美女、そして時たま差し込まれる飯テロの描写も秀逸。思わず名古屋を訪れてみたくなること必至です。
そんな怪異の向こうに現れる、人の闇と、その切なさとは――?
是非、お手に取ってみてください。
他人の感情が流れ込んできてしまう共感能力を持つ高校生・服部朔。
彼が助手として出入りしているのは、オカルト関係専門の樹神(こだま)探偵事務所。
自身もまた、異能を持つ樹神先生の元に、今日もまた不思議な依頼が持ち込まれる……。
異能を持つがゆえに家族とうまくいっていない悩める青少年・服部少年の視点を中心に綴られる物語です。
思春期特有の不安定で純粋で、それでも前を向こうとする服部少年の姿に、読んでいて目頭が熱くなることもしばしばです……っ!。・゚・(´^`*)・゚・。
服部少年の両脇を固める樹神先生と、謎めいた美女・百花(もか)さんの存在がまた素敵なのです! 迷える少年を優しく、時に厳しく導いてくれます。
名古屋を舞台にしているので、ご当地グルメも満載な今作。
「食べてみた〜い!」とご当地グルメによだれをたらしつつ(笑)、服部少年の成長を見守ってあげてください!(*´▽`*)
この物語は、他人の想いに翻弄される異能を持った主人公が、自分の中の強さに気付くまでの物語。主人公は名古屋の有名進学校に通いながら、探偵(先生)の助手として働いている。先生には他人に干渉する声の異能があった。そんな探偵事務所に舞い込んでくるのは、ちょっと怪しい事件ばかりだ。
行方不明の予備校生は、かくれんぼの声を聞いた。ある神社では、犬の日に妊婦さんばかりが階段で転ぶ。その前兆には「かごめ、かごめ」の歌が聞こえていた。そして童謡「あめふり」では女子高校生が……。次々に起こる事件を、主人公と先生、そして調香師の女性が、解決していくが、そこには昔の名古屋の遊郭が関わっているようだった。そして明かされたのは、調香師の女性に関する秘密だった。
そして主人公はかつて、守られなかった約束を思い出す。主人公は病院で、少女と指切りげんまんしていたのだが、その記憶を消されていて⁉
この世とあの世の隙間は、今日も開かれ、迷える魂は声に導かれてあるべき場所へ帰っていく。そこに寄り添うのは、強い共鳴をもつ少年と、気高き香りの女性。
名古屋という場所の歴史、その土地ならではの神社など、知らないことが沢山伏線として張り巡らされており、とても読み応えのある作品でした。また、思い返せば誰でも知っている歌やおまじないが、こうして作品に取り込まれているものを初めて拝読し、オリジナリティの高さをうかがえます。また、誰にでもある人間の弱さと強さを同時に扱っており、霊にまで感情移入させるような設定で、最後に希望を見出だせる仕掛けも脱帽ものでした。
是非、御一読下さい!
名古屋のとある雑居ビルにある探偵事務所。とはいえそこにいる探偵さんは、浮気調査も密室殺人の謎解きも、怪盗を捕まえたりもしません。
ここで取り扱うのは、非現実の世界で起きた事件。言ってしまえば、オカルト的な事件です。
当然、常識では考えられないようなおかしなことも多々起こりますが、そこはさすが専門家。こちらもこちらで、普通の人間には決して真似できないようなやり方で怪異に挑みます。
しかし本作の主人公は、そんな専門家である探偵の樹神先生ではなく、その助手である服部少年。
彼もまた普通の人とは違う不思議な力を持っていますが、それ故に何か心に悩みを抱えている模様。大人であり精神的にも能力的にも強い先生と比べると、どうしても見劣りするところがある。だけどそういう弱さが、そして、それでも何とかしたいと頑張るところが、彼の魅力でもあるのです。
一人で全てを解決できるようなスーパーヒーローではないけれど、不器用ながらできることを精一杯やろうとする一途さは、きっと見る人の心を動かすことでしょう。
あと、本作を語る上で忘れてはいけないのが、所々に出てくる名古屋めし。もしも名古屋に遊びに行かれることがあれば、本作を読みながら何を食べるか決めるのもいいかもしれません。
私が万人にお薦めできる陽澄すずめ様の最新作は、名古屋の街中にあるちょっと風変わりな探偵事務所が舞台。そこに持ち込まれる風変わりな事件を取り扱うのは、風変わりな探偵さんと、その助手の少年。芝居がかった振る舞いが似合う探偵さんに比べたら、少年は至って真面目そのもの。でもそんな探偵事務所に勤めるぐらいだから、少年にもやっぱり風変わりなところがある。それはーー
少年は人や怪異の想いと極めて共感しやすい、特殊体質持ちだったのです。
もうこれだけで興味惹かれるでしょう?
彼らは様々な怪異と対峙するけど、別に切った張ったの闘いでねじ伏せるわけじゃない。怪異の想いを汲み取って、然るべきところに返そうとする。ただその想いはあまりに強すぎたりして、少年は振り回されることもしばしば。時に迷うこともあるけど大丈夫。彼の周りには探偵さんや、煙を扱う和服美人のおねえさんや、頼りになる人がいるのだから。だから少年は様々な想いに触れていくうち、やがて想いにかけるべき言葉を見出だすのです。
そう、このお話は怪異譚でありながら、少年の成長の物語でもあります。特殊体質に悩まされて不安を抱えていた少年が、一歩ずつ成長する姿には、思わず目頭が熱くなること請け合い!
『共感応トワイライト』是非皆さん、ご一読ください!
怪奇とミステリーが両方味わえる奇異な事件の謎。本当は怖い童謡。
想いが報われぬまま漂い続ける魂の重たさ、業の深さ。
時々読者を襲う強力な飯テロ。
そしてなにより、語り手である高校生の服部少年が様々な事件をとおして自分の生き方を見つめていく成長の物語。
洒落者の樹神先生のかっこよすぎる声や、登場するたびに粋な和装ファッションを楽しませてくれる百花さん。彼らの名古屋弁の会話はスリリングな展開の中で緩和剤のように和ませてくれます。
霊や怪奇現象を題材にとり、共感応という特殊能力を持つが故の主人公の苦しみや悩みが描かれていますが、生きていること、自分の存在に対して人知れず疑問や悩みを抱えている十代の方々にぜひ読んでもらいたいです。きっとこの作品の樹神先生や百花さんのような大人がどこかにいるはず。そして自分を肯定できる場所がどこかに見つかるはず。
事件を解決しながら、心に巣食った暗闇にも光が差すような心地になります。
怪奇譚とヒューマンドラマが織りなす、読みどころ満載の素晴らしい一作です。
エンパス能力の持ち主、服部少年は探偵事務所の助手です。
その能力を活かして怪異事件に立ち向かいます。
このところ名古屋市内では怪異事件が続発中なのです。
服部少年を導く探偵事務所の所長、樹神先生。
和装の美人で調香師の百花さん。
彼らの助けもあって活躍する服部少年。
ところが彼は悩んでいます。
その能力を受け入れられない親。
自分の未熟さ。
まさに悩める青春です。
悩む服部少年の成長ぶりはこの物語の中核です。
また登場する名古屋名物の食べ物の何と美味しそうなこと。
読めば食べたくなること間違いナシ。
名古屋グルメ旅、いつかやってみたくなりました。