怪異の想いに共感しながら、少年は彼らにどんな言葉をかけるのだろう

私が万人にお薦めできる陽澄すずめ様の最新作は、名古屋の街中にあるちょっと風変わりな探偵事務所が舞台。そこに持ち込まれる風変わりな事件を取り扱うのは、風変わりな探偵さんと、その助手の少年。芝居がかった振る舞いが似合う探偵さんに比べたら、少年は至って真面目そのもの。でもそんな探偵事務所に勤めるぐらいだから、少年にもやっぱり風変わりなところがある。それはーー

少年は人や怪異の想いと極めて共感しやすい、特殊体質持ちだったのです。

もうこれだけで興味惹かれるでしょう?

彼らは様々な怪異と対峙するけど、別に切った張ったの闘いでねじ伏せるわけじゃない。怪異の想いを汲み取って、然るべきところに返そうとする。ただその想いはあまりに強すぎたりして、少年は振り回されることもしばしば。時に迷うこともあるけど大丈夫。彼の周りには探偵さんや、煙を扱う和服美人のおねえさんや、頼りになる人がいるのだから。だから少年は様々な想いに触れていくうち、やがて想いにかけるべき言葉を見出だすのです。

そう、このお話は怪異譚でありながら、少年の成長の物語でもあります。特殊体質に悩まされて不安を抱えていた少年が、一歩ずつ成長する姿には、思わず目頭が熱くなること請け合い!

『共感応トワイライト』是非皆さん、ご一読ください!

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