本日怪異日和、時々飯テロ、のち晴れ
- ★★★ Excellent!!!
名古屋を舞台に、童謡に纏わる怪異譚の数々。
そういった事件を特殊な能力を持つ探偵と助手が解明していく、連作短編形式のお話です。
主人公の男子高校生・服部朔は、己の持つエンパスなる能力に苦しみ続けた結果、大変自己肯定感が低い子に育ってしまいました。
こうなるのも仕方ないな……と納得できるほど悲しい背景が彼にはあるのですが、その能力をコントロールする術を教えてくれた探偵、樹神皓志郎先生の側で助手として様々な怪異に触れる内に、少しずつ成長していきます。
もうね、その姿を母のような気持ちで見守ってしまいましたよ。ずっと俯き加減だった彼がゆっくりと顔を上げて前を向いていく様を、気付けば心から応援していました!
また遭遇する怪異の裏には、恐怖以上に悲しみややるせなさなどが満ちています。
それもそのはず、『相手』は我々と同じ『人間』なのですから。
たとえ朔のような能力がなくても、我々にも『共感』できる。相手の痛みを苦しみを、どうにもできなかった後悔を、自分のもののように捉え、様々な感情が揺り動かされるはずです。
読み終わった後、切なさと共に、もっと誰かに優しくなりたいという気持ちが芽生えているのがその証拠。
そして最後に一つ注意を。
このお話の飯テロ、本当にやばいです!
食後だろうと夜中だろうと、確実にお腹が空きます!!
その点だけは皆様どうかお気を付けて(笑)