読んで後悔は絶対にしない。

霊を巡る事件を解決していく不思議でハラハラする話であり、
度々出てくるご飯やお菓子に惹かれてしまいもする。
知っているはずの童歌がなんとも恐ろしいものとなり背筋が凍る。
魅力はとてもたくさんあるのです。

でもこのお話の一番の魅力は、私には人間ドラマであること、だと思います。
ちょっと不思議な事務所の助手をしている服部少年。
彼の抱える彼自身の異能から来る悩み。
しかしこの服部少年がとても優しく、誠実だからこそ、この心のわだかまりが心の闇になり切らずに、逆に人々を助けていく。

服部少年は師匠である樹神先生や、力を貸してくれる百花さんに助けられて怪奇事件のピンチを抜けていきます。
でもそうでしょうか。

彼が段々と自分に対する自信のなさを克服していくその姿。
いろいろな事件を経験する中で学び、気づいていきます。

全編はそれぞれ一つの事件を扱った幾つかの章から成り立っていますが(その全体像は読んで確かめてくださいね)、服部くんが助けられた、のでしょうか?

彼にしかない魅力と、その彼の周りにいる大人たちと彼との関わり方と、ここでは伝えきれないドラマがあるのです。

カクヨムコン、受賞間違いないと本心から思う作品でした。

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