概要
ちょっと天然な巫音と変わりない日常を愛する棗が繰り広げる学園怪異譚
巫音(みこと)は、全身水浸しで神楽殿に立っていた。
身に着けているのは、薄い生地の白い着物一枚きりで、それも水に濡れ肌に貼り付き、躰のシルエットをくっきりと浮かび上がらせている。
すらっとした長い脚、細身ながらも体つきがよく、抜けるほど白く艶のある肌。
釣り灯籠の炎が揺らめいて、巫音をより一層妖艶に照らし出す――。
左爪が棗の右肩に浅く突き刺さる。
棗は、腕ごと引き千切られそうなところを、何とか凌いだ。
右爪は、巫音の頭を輪切りにする勢いだったが、棗の左腕が辛うじて抑え込んでいた。
棗の右腕が掻き切られれば、自由を取り戻した左爪が、猛威を振るうことになるだろうことは、容易に予想できた――。
葛乃葉が呆れながら言う。「怪異の姿形(すがたかたち)に惑わされてはならぬぞ。よくよく覚えておくのじゃ。
身に着けているのは、薄い生地の白い着物一枚きりで、それも水に濡れ肌に貼り付き、躰のシルエットをくっきりと浮かび上がらせている。
すらっとした長い脚、細身ながらも体つきがよく、抜けるほど白く艶のある肌。
釣り灯籠の炎が揺らめいて、巫音をより一層妖艶に照らし出す――。
左爪が棗の右肩に浅く突き刺さる。
棗は、腕ごと引き千切られそうなところを、何とか凌いだ。
右爪は、巫音の頭を輪切りにする勢いだったが、棗の左腕が辛うじて抑え込んでいた。
棗の右腕が掻き切られれば、自由を取り戻した左爪が、猛威を振るうことになるだろうことは、容易に予想できた――。
葛乃葉が呆れながら言う。「怪異の姿形(すがたかたち)に惑わされてはならぬぞ。よくよく覚えておくのじゃ。
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