第15話 汚れ役
雨が降ってきた。
ザァーザァー…。と、次第に強くなっていく。
リアムは、どうせオリビアとの婚約が破棄になり落ち込みながらタバコでも吸っているのでは無いかと思いいつものバラ園へ足を運んだ。
「…っちゃぁ。ずぶ濡れだぁ…。まぁ、雨も滴る良い男ってな」
バラ園に着く頃には、全身ずぶ濡れだった。
「リ、アム?」
ベンチの近くに、転がって居たのは血だらけのリアムだった。
「おい!!おい!リアム!」
「ん…」
薄らと、目を開いた。
「テメェ…。オリビアに婚約破棄されたからって、自殺するか?!」
「違う…」
軽くツッコミが入れられるまでは、元気のようだ。
「ゲホっ…。リルちゃんから治癒魔法を教わっていて助かりました…」
リアムは、撃たれてすぐに自分に治癒魔法を施していた為、命は助かった。
「ギルバート…彼を止めないと」
「彼?誰のことを言っている?」
「ルーカスです。彼は…アリシアの弟だ」
リアムの話しを聞いて、目を真ん丸くするギルバート。
ベンチをつたい立ち上がろうとするリアム。だが、思うように力が出ない。
「おい!あんまり無茶すんじゃねえ!傷口は、塞がってるが出血が酷え…」
「ギルバート、僕のことはいい。早く、チェイスくんの元へ…」
「そんな体じゃ、戦う前に死ぬぞ!?待て、エリアを呼んでくる」
「バカ、それじゃあ間に合わない。一刻も早くチェイスくんの元に…」
「リ、アムさん?」
傘を差して、急に居なくなったチェイスを探しに来ていたオリビア。
思わず、傘を落としてリアムに駆け寄る。
「リアムさん!大丈夫ですか?!今、エリアを…」
「オリビア…。お願いです、チェイスくんを助けに行ってください。また、争いが起きる前に」
リアムは、先ほど遭ったことをオリビアとギルバートに伝えた。
ルーカスが、アリシアの弟であったこと。フォーコンの一味だったこと。チェイスの命を狙っていること。
オリビアは、話しを聞いた後にポケットから携帯電話を出しエリアを呼んだ。
「オリビア、お前どこ行く気だ」
「リアムさんを宜しく。あとは、魔の国(汚れ役)の仕事よ」
オリビアは、もう一本電話を掛けてからその場を去った。
『ああ、そうだ。フォーコンだか、ノーコンだか知らないが…私の側近を狙ったこと…後悔させてやる』
チェイスの居場所は、魔の国の情報軍からすぐにオリビアの耳に伝わった。
「随分と、舐めやがって…許さない」
クラウディアの中央には、もう魔の国の軍が全隊集まっていた。
「良いか、お前ら…今日の獲物は好きにしていいぞ。ただし、ルーカスは殺すな…私が仕留める」
オリビアが、散れッ!と命令する全隊はチェイスの元へ向かった。
「さぁて、行きますか」
ジェットブラックのリーダーである印の付いたマントを羽織る。
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