第16話 関係ない
シェリルは、言われた通りチェイスと待ち合わせした木の下で待っていた。
ただならない殺気にシェリルは、後ろを振り向いた。
それにすぐに気がつくと、シェリルはチェイスに何かあったのだと察した。
「チェイスくんッ」
そのまま、走って彼と分かれた工場へと向かった。
魔の国の軍が、入ってきたことにすぐに気が付いたシェリルはなにか嫌な予感が胸をざわつかせた。
「オリビア?」
森の入り口から、見えたのは殺気を纏っているオリビアだ。
フォーコンの手下達が、オリビア目掛けて氷の魔法や、火の魔法などで攻撃するが全て当たらない。
それと同時に、オリビアが視線で合図すると手下達を魔の国の軍がフォーコンをどんどん狩って行く。
一人、フォーコンの少女を生かしたまま捉えた。
「殺すなら殺しな!魔の国の軍なんかに私は屈しない!!!」
「威勢のいいガキだね。そういうガキ嫌いじゃないよ…仲間の場所と配置いいな」
「言うもんか!!私は、フォーコン!悪魔の種族に屈しない!」
「そう…」
オリビアが、笑顔で指を鳴らすと少女の腕をへし折った。
グギッ…ッ!と言う、思わず耳を塞いでしまいたくなる音と共に少女の叫び声が森中に響き渡る。
「仲間の人数、配置は?」
「悪魔が…私は、フォーコンッ!悪魔に屈しないッ!」
「へぇ…じゃあ、地獄の苦しみでも味わって貰おうか」
オリビアが、指をまた鳴らそうとした瞬間。
その手をシェリルに止められた。
「オリビアッ。やめて」
「シェリル…手を離して」
「まだ、小さい子供じゃない!オリビア、あなたらしくないよ」
「シェリル、これは…争いなのよ。魔の国と、フォーコンのね…神の国には、関係ない」
「目の前で、小さな女の子の腕を折る行為が魔の国のすることなの?」
「小さな女の子?その子は、チェイスを殺そうとしている軍の仲間なのよ」
「だからってッ!!」
バァンッ!!と、銃声がシェリルの背後から聞こえてきた。
目の前には、拳銃を構えているオリビア。彼女が、フォーコンの少女を撃ち殺したと言うことが信じられなかった。
「…ッチ。式神ね…本体が近くにいるわ。探しなさい」
「オリビア…待ってッ!」
先へ行くオリビアに、シェリルは手を掴もうとするがオリビアはその手を振り解いた。
「もう一度言うわ。コレは、魔の国とフォーコンの争いよ。神の国は、関係ない」
「関係なくない!!」
「なに…?魔の国に楯突くつもり?」
オリビアの瞳には、怖いほどの怒りが満ち溢れていた。
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