第17話 争いの始まる音
「シェリル……あんた、チェイスが殺されても良いの?」
「そんなこと思ってる訳ないでしょ!?私は、こんなやり方がおかしいって言ってるの!!オリビア!落ち着いて!ちゃんと考えよう?!」
オリビアは、考えが生ぬるいシェリルに怒りを覚え、奥歯を噛み締め拳銃をシェリルに向けた。
「そんなこと言ってる場合じゃないのよ!!争いが始まろうとしてんの!!奪うか奪われるか、死ぬか殺されるかの問題!!あんたたち、神の国には一切関係ないこと!!他の国がしゃしゃるんじゃないわよ!!」
ー パンっ!!!
オリビアは、シェリルの真横を撃ち抜いた。そこには、フォーコンの風邪使いがシェリル目掛けて攻撃をしようとしていた。それをなにもためらわずに、オリビアは撃ち殺した。
「いい?これは、魔の国とフォーコンの争い。神の国は関係ない。死にたくないならさっさと消えて」
マントを翻し、そのままシェリルに背を向けた。
シェリルは、拳を強く握り締めた。
あんなに優しくて、誰よりも人の気持ちを大切にする子が、なんのためらいもなく……人を殺してる。
止めないと、私が止めないと!!!
「オリビッ……」
振り返るがそこには、オリビアの姿はなかった。
「オリビア……」
許さない。絶対に許さない。
チェイスをキメラを……リアムさんを傷つけたフォーコンを許さない!!!!
オリビアは、チェイスの魔法の気配を感じ取り工場に辿り着いた。
彼女が指を鳴らすと、周りを魔の国の戦闘隊で、埋めつくした。
「オリビア様……ご命令は?」
黒いマントを被ったキメラが、オリビアの背後に立ち命令を仰いだ。
「ネズミ一匹逃すな」
「はっ!!」
工場の分厚い扉を勢い良くオリビアの風の魔法で、吹き飛ばす。
中に入るとそこには、頭と体から血を流しグッタリと倒れているチェイスの姿が飛び込んできた。
「チェ……ぃす……」
気を失っているチェイスの頭を踏みつけているのは、ルーカスだった。オリビアの顔を見るなり、少し驚いた表情を浮かべた。
「おやおや、魔の国の次期女王様じゃないか。いい所に来てくれたね!これから、キミの大切な親友にトドメを刺すところだよ」
動かないチェイスを囲い、ニヤニヤとするフォーコンの集団にオリビアは、マグマの様に熱い怒りが湧き上がり唇を血が流れるほど噛み締めた。
「許さないッッッッッッッッッッ!!!やれぇえええええええええええええええええ!!!!!!」
オリビアの怒声と共に、全戦闘隊がフォーコンを全滅させようと向かった。
「争いの始まりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ルーカスの叫び声と共に、フォーコンも一斉に魔の国を滅ぼす勢いだ。
それと同時に、突風がルーカスの体を貫いた。
「ルーカス……あんたの相手は、この私よ。」
瓦礫の山まで飛ばされたルーカスは、勢い良く起き上がる。
「嬉しいなぁ!!魔の国次期女王様がお相手かい?!」
「黙って。魔の国次期女王のオリビア=リングとして……私の大切な人たちを傷付けた、あんたは私が仕留める」
オリビアの瞳には、怒りを通り越して殺意が湧いていた。
争いの跡に。ーこれからー ひな菊 @hinakiku
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