第7話 彼の秘密 part2


 会議も無事に終わった。オリビアは、そのまますぐ横にいたギルバートに声をかけた。


「ねえ、ギル」


「ん?なんだ」


「り、リアムさんについてなんだけど・・・」


「あ?アイツがどうかしたか?」


 オリビアは、少し考えてから口を開いた。


「やっぱりなんでもない」


「あん?おい・・・」


 モヤモヤを抱えたまま、廊下の窓から中庭が見えた。そこには、小鳥と戯れているルーカスがそこにはいた。


「なんなのアイツ・・・」


 オリビアは、覚悟を決めて中庭に運んだ。


「やぁ!!オリビアっ!!やっぱり来てくれたね」


「リアムさんのこと・・・何を知ってるの?」


 ルーカスは、オリビアに近づき彼女の頬に手を伸ばした。


「やっぱり、そっくりだね」


「え?」


「アリシアにそっくりだ」


「アリシア?・・・だれ?」


「知りたいかい?アリシアは・・・ッ!!」


 殺気を感じ取ったルーカスは、一歩後ろへ下がった。


 すると、勢いよく飛んできたのは酒瓶だった。


「誰かと思えば・・・ルーカスじゃねえか」


「おおッ!!我が友のギルバートかい?久しぶりだね。キミも知ってる話だ・・・オリビアに聞かせてあげようじゃないか」


「黙りやがれ。あんまり、ふざけた口聞いてっとその口に酒瓶を捩じ込むぞ」


「なんだいなんだい?とんだ挨拶じゃないかい。友に向かって」


「友だぁ?本当にムカつく野郎だな・・・」


「ギル、乱暴はやめて」


 今にも、剣を抜こうとするギルバートにオリビアのストップが掛かる。


「アリシア・・・とは、誰なの?」


 その名前を聞いた瞬間。ギルバートは、鋭い眼差しでルーカスを睨みつけた。


「オリビア、もう中に入れ」


「知りたいなら、教えてあげるよ。アリシア・・・それは、キミが愛してやまないリアムくんの元婚約者とてでも言っておこうおかな」


「・・・え」


「アリシアとリアムくんはそれはそれは愛し合っていた。なのに、あの忌まわしい争いが起こりその犠牲になった一人がアリシアさ。アリシアを失ったリアムくんは、もう魂が抜けた様になっていた。そして、誰よりも魔の国の住人を憎み、争いを憎んでいるのは彼だろうね」


「ルーカス・・・」


「アリシアの容姿は、オリビア・・・キミに生き写しだ。キミは、リアムくんにとってただの代用品なんだよ」


「代用品・・・リアムさんが、魔の国の住人を憎んでいる?そ、そんなの・・・」


「嘘?そう言いたいのかい?まぁ、信じるも信じないもキミ次第だ。オリビア、キミはまたワタシのところへやってくる。必ずね」


 そうオリビアの頬にキスを落としたルーカスは、そのままどこかへ消えてしまった。


「ギル・・・。さっきの話しは、本当なの」


「オリビア・・・リアムは、今では本当にお前を・・・」


 オリビアは、ギルバートの話しを最後まで聞けずにその場を去った。


「オリビアッッ!!」


 彼女の跡を誰も追えなかった。

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