第5話 気持ちの正体
次の日、シェリルはクラウディアの公園に来ていた。
ブランコに腰掛けて、昨日のことを思い出していた。
「私は・・・チェイスくんのなんなんだろう?」
ギィギィ・・・。と、ブランコを揺らしながら地面を見ていた。そこに。
「リル・・・様?」
「ルイくん?」
「どうしたんですか?どう見ても、元気がなさそうですけど」
「ルイくん・・・なんで・・・敬語なの」
まさかの質問にルイはガクンっと肩を落とした。
「い、いや・・・あのリル様にタメ口なんて・・・今まで恐れ多いことだったんですよ」
「ちょっと!!悲しいからっ!リル様呼び禁止っ!!」
隣に座って!!!と、ルイに命令するシェリル。ルイは、彼女に言われるままに隣のブランコに腰を下ろした。
「で?どうかしたの?」
「私って・・・チェイスくんに相応しくない?」
「え?」
「チェイスくんには、もっとちゃんとした人の方が良いのかな?」
「なんでっ?そう思うの。アイツは、ただのキメラだよ?!反対だろ?!リルにもっと相応しい人が!」
シェリルの悲しそうな表情を見た瞬間、ルイの口は閉じてしまう。
「ねえ、リル。覚えてる?」
「なにを?」
ルイは、ブランコから降りてシェリルの前に立ち彼女の手を自分に当てた。
「僕がなんでいつものこの髪型をしているのか。なんでいつもあのキメラのことを憎いと思ってしまうのか・・・」
「え?なにを言って・・・」
「思い出して・・・自分の心の内に秘めた鍵を掛けた扉に手を伸ばして欲しい」
「それって・・・どういう?」
「リルは、キミは・・・あのキメラに・・・」
シュッ!!!と、勢いのよくルイのこめかみ目掛けて小石が飛んできた。それをルイは、素早く察知して避けた。
「あっ!!なっまいきー!弱いくせに避けやがった」
「貴様は、ロー=レクシャーッッ!また証拠にもなくこのお方を襲いに来たのかっ!!!なにが目的だッッ?!言えっ」
シェリルを守るように前に立ち殺気を放つ。
「べっつにー?ちょっと聞きたいことあって来ただけ」
「な、なんですか」
ローは、ずっと抱え込んでいた胸のグシャグシャを彼女に聞いてみることにした。
「あのさ?なんであの時・・・ルーカスの前に立ったの?死ぬかもしれなかったのに」
「え?」
「なんで、あのキメラのこと守ったの?」
「そんなの当たり前です。愛してるから」
その真っ直ぐなシェリルの言葉に、ローの胸のグシャグシャは一気に晴れた。
「私は、チェイスくんを愛してる。キメラだろうが・・・人間だろうが・・・チェイスくんのことをチェイスくんだけを思ってる。だから、守るの。守りたいの!守られるばかりはもう嫌なのっ。失いたくない、なにがあっても・・・絶対に。何か文句でもある?!これ以上、私の愛する人を侮辱するなら本当にただじゃおかない!!!!その覚悟はあるの?!!」
シェリルは、感情が昂り涙が溢れた。
その瞬間、彼女は暖かいモノに身を包まれた。
「ううん、そんな覚悟オレにはないや」
「え?」
ローがシェリルを抱きしめてることに、少し時間が掛かった。
「オレ・・・リスちゃんのこと好きかも」
「・・・はい?」
この急展開に、?だらけのシェリルとルイであった。
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