第8話 最愛の人を失った日
嘘だ・・・。嘘だ・・・。嘘だッッッ!!
あの優しいリアムさんが、魔の国を恨んでる?私は、代用品?
あの私に今まで向けてくれていた・・・。あの笑顔は、言葉は・・・全部全部。嘘だったの?
オリビアは、いつの間にかクラウディアに着いてしまっていた。空も今にも泣き出しそうだ。
ポツリポツリ・・・。と、空が泣き出してしまう。思わず、空を見上げる。
「オリビア・・・?」
今、一番聞きたくない声が彼女の耳に届いた。
「どうしたんですか?傘もささないで・・・」
ビニール傘をさしたリアムは、オリビアに駆け寄り顔を覗き込んだ。
「とりあえず、僕の部屋に来ますか?」
「リアムさん」
「はい?」
「アリシアさん・・・って誰?」
彼女の呟く名前にリアムは動揺が隠せなかった。
「な、誰にそれの名前を・・・「私って、アリシアさんにそっくりなんだね。私は、その人の代用品なの?」
「ちがっ!!「じゃあッ!!なんで話してくれなかったの?!魔の国の次期女王の私を騙して・・・楽しかった?」
「オリビア、聞いて下さいッ!!」
傘を落として、両手で彼女の肩を掴み話しを聞かせようとした。けれど、リアムの目に飛び込んできたのはオリビアの泣き顔だった。
「嘘つき・・・。信じなきゃ良かった・・・。これ、お返しします」
オリビアが渡したのは、リアムから渡された婚約指輪。
「え・・・。オリビア、聞いて下さい。僕はッ!確かに初めはアリシアと貴女を重ねていましたッ!でも、貴女を知るうちに貴女のことが本当にッッッ」
ー パチンッ!!!
「これ以上・・・私を惨めにさせないでください」
オリビアは、そのままリアムの前から姿を消した。
「オリビア・・・ごめん」
今日が雨でよかった。リアムとオリビアの頬を伝う涙が、綺麗に洗い流してくれた。
僕は、また最愛の人を失った。
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