概要
平穏だった辺境の砂漠の街で、白昼堂々起こった殺人。
投獄された彼女が語った復讐の物語とは……。
人生の半分をただ復讐の為に生き、『後漢書』にその名を刻んだ烈女・趙娥の逸話を元に武侠小説テイストで肉付けした短編です。
今作単体でも完結しているお話ですが、内容的には長編『西涼女侠伝』のスピンオフにもなっております。
▼『西涼女侠伝』
https://kakuyomu.jp/works/16816452218737394790
こちらの作品を、文章ほぼそのままの朗読劇(本文をナレーション扱いで朗読し、キャラクターのセリフは演者に振り分ける形式)にした動画が、youtubeにて公開されております。
ご興味ありましたら
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!古代中国らしいメンタリティが味わえる武狭テイストの短編小説
「列女伝が読みたい! だけど、紙媒体しかなくて残念……」と思っている時に、本作に出会いました。
この作品の主人公である『趙娥』の名前を列女伝を調べてる時にチラリと耳にしまして、本作に興味を持ったわけです。
なので、列女伝に趙娥の話があるかは知りません。ゴメンナサイ。
本作がどんな話かというと、
簡単に言えば『父の仇討をする女性』の話です。
日本でも時代劇ドラマなら見かける習慣です。
でも、今は時代劇ドラマ自体が少ないので、仇討なんてピンと来ない人も多いかもしれません。でも、どうもこの小説で描かれる時代の人にとって『殺された家族の敵討ちはやるべき大事なこと』だったみたいです。
重要ポイント…続きを読む - ★★ Very Good!!我的心事,本想像冰霜一样,默默埋在心底
復讐のために生きる女性の物語です。
ある日、生首をもって人を殺したと出頭する主人公と事件を記録するために話を聞く男性官吏。
主人公の女性が語る過去の話として物語は進みます。
実際に歴史書に記述された内容がわかりやすくまとめられています。
歴史モノだからか、ストーリーに時折現代に生きる我々が到底理解することのできないような思想が入りますが、丁寧に説明されていて読みやすいです。
家族を殺した男への憎しみを忘れず、復讐を果たす女性の強かさには胸を打たれました。
あのとき「私の心は、冰霜のように、静かに埋もれていくはずだったのです」。※ひとこと紹介文の和訳です。
ただ家族を一心に思い続けた女性の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!企画入賞レビュー「彼女はいかにして復讐を成し遂げたのか」
実に見事です。
中国の三国時代を舞台とした復讐劇でありながら、我々が読んでも違和感なく入り込めるように様々な配慮がなされていました。当時の風習、常識について事細かな説明が入っているのみならず「復讐は成功した」という結末を先に見せておくことで「ある種の担保」のようなものを読者に保証し、それによって「主人公がどれだけ酷い目に遭っても、途中で読むのを止めようとは思わせない」作品を完成させることに成功しているのです。
むしろ「ここからどうやってあの結末にもっていくのだ?」と、強く興味を惹きつけられるのですから、ネガティブな描写が全てプラスになっている稀有な事例と言えるでしょう。
家族の復…続きを読む