後記

原典(後漢書趙娥伝)

▼原文


酒泉龐淯母者,趙氏之女也,字娥。

父為同縣人所殺,而娥兄弟三人,時俱病物故,讎乃喜而自賀,以為莫己報也。

娥陰懷感憤,乃潛備刀兵,常帷車以候讎家。

十餘年不能得。後遇於都亭,刺殺之。

因詣縣自首。

曰:「父仇已報,請就刑戮。」

祿福長尹嘉義之,解印綬欲與俱亡。

娥不肯去。

曰:「怨塞身死,妾之明分;結罪理獄,君之常理。何敢苟生,以枉公法!」

後遇赦得免。

州郡表其閭。

太常張奐嘉歎,以束帛禮之。




▼現代語訳(だいぶ意訳)


酒泉の龐淯の母は、趙氏の女で、字を娥という。

同県の李寿に父を殺害され、三人の兄弟もまた病で亡くなってしまった。

それを知った李寿は、これで仇討ちの心配はないと大いに喜んだ。


しかし趙娥は仇討ちを決意し、李寿の命を狙うようになった。

十数年後、街中で李寿と相対した趙娥は李寿を殺害し、その首を持って自首した。


曰く「父の仇を討ったので、私を裁いてください」


義に感じいった禄福の長である尹嘉は裁く事が出来ず、趙娥を釈放して共に逃亡したいと申し出る。

趙娥はそれを断った。


曰く「恨みを晴らすが私の道理、罪を裁くが貴方の道理。私を生かすために法を曲げてはなりませぬ」


だが結局は罪に問われず釈放となった。

村の門には彼女の功績を讃える石碑が建てられ、太常の張奐もこれを讃えて褒賞を贈った。






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荒野の復讐剣 水城洋臣 @yankun1984

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