(二)-10

 何を話しているのだろう。ちょっと耳をそばだてて聞いてみたけど、良く聞き取れなかった。

「じゃあ、六時間目終わったら、来てね」

 それだけ聞こえた。

 私はトイレのドアを半分開けたまま立ち止まってその会話を盗み聞きしていたが、会話が終わる前に中から別の生徒が出てきたため、私はトイレに入った。そこにそのまま留まっていたら不自然だし。

 多分二人はそのまま別れただろう。そしてムサシ君はトイレに入っていったはずだ。


(続く)

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