ムサシ君は行ってしまった

筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36

(一)

 ゴールデンウィークが終わって学校が始まった。日中は少し汗ばむ陽気だが、風は涼しく心地いい。そんな五月、私の通う高校では、生徒たちが新しいクラスになじむことを目的としたイベント、球技大会が開かれる。これはこの学校の伝統らしく、戦後一九五〇何年の創立以来、途切れたことがないそうだ。

 そんな伝統と格式(?)を持った我が校の球技大会の実行委員に、私は指名されてしまった。

 ゴールデンウィーク前に開かれたホームルームの場で、「どこの委員会にも属していない」という消極的というか、消去法的な理由で。クラスには委員会に入っていない生徒は、他にもいっぱいいるのに。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る