(二)-9

 そうして、廊下の角を曲がり、トイレの方へ歩いて行こうとするとムサシ君は立ち止まっているのが見えた。

 思わずびっくりして「えっ?」と声を上げてしまった。でもムサシ君は気づかなかったみたいだった。

 というのも、ムサシ君は女子生徒の誰かと立ち話をしていたからだ。

 私はトイレへ行くフリをして立ち止まったままのムサシ君の脇を通り過ぎた。彼の前にいる女子生徒というのは、確かサッカー部のマネージャーで……、そう名前は山城ミヤコ先輩だ。


(続く)

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