悪の道には染まるな!
このアクション映画世界に放り込まれ時にもっともやってはいけない事、それは法を犯す事である。この世界における犯罪者は派手に稼げて、警察を簡単にねじ伏せる事が出来るだろう(大体警察と銃撃戦になっても弾は当たらない)。億万長者も夢ではないし、犯罪者として成り上がる事はかなり簡単である。
しかし、それは死への階段をダッシュで昇る事に他ならない。なぜか?
ほぼ確実に死ぬからだ。
統計的に見てヒーローと敵対した犯罪者やテロリストは、殆どが生き残る事が出来ない。ヒーローの戦闘能力は恐ろしく高い上に、彼らは犯罪に対しては容赦しないからだ。相手が警察官だからと言って大人しく逮捕させて貰えるとも思わない方がいいだろう、おそらく、ヒーローが相手をした時点で生かせて貰えないだろう。
この場合における「犯罪」の度合いによっては、まだ生存のチャンスがある。
皮肉な事に、悪あがきをしないチンピラほどこの世界では生存の確率が高い。コンビニで強盗をしている時にヒーローとカチ合った際に銃火を交えると死ぬのは確実だが、大人しく銃を向けられて降参すれば、刑務所行きは避けられないが生き残るチャンスは十分ある。何なら、その後ヒーローの捜査(警官だった場合)に協力出来るのならマシな待遇も期待できる。
しかし、犯罪のスケールが大きい程生存できるチャンスは無くなる。
連邦準備銀行の数百・数千億ドルの金塊を盗んだり、市内の銀行を数か所叩いて有り金をごっそり盗んだり、自分たちの都合で多くの無垢な人たちを血祭りにあげたり、多くの市民を人質に金をせびったりすると、ヒーローは冷酷な殺人マシンへと変貌する。
こういう場面ではすでに殺すか殺されるかという所まで来ているので、あなたは恐らく生きられないだろう。銃を乱射するのに当たらず、ヒーローの持った拳銃が火を噴いた瞬間にあの世へ行くだろう。
もしあなたがマフィアやギャングの構成員だったとしたら、すぐさま抜けるのが賢明だ。ヒーローは組織間の抗争程度には静観できるかもしれないが、組織が堅気に対して非道な事をやった瞬間にすべてを敵だと認識するだろう。また、組織がとても冷酷な場合は、抜け出す事すら叶わないかもしれない。もっとも、堅気には手を出さずに薬や人身売買もやらない、昔気質なギャングであれば生存確率はあるかもしれないが、そんな組織はこの世界では絶滅危惧種である。
また、テロリストはほぼ生き残れない。現実世界でもそうであったように、合衆国に危害を加える人間はまず生き残れない。おまけに相手をするのは1人だけの軍隊と、その背後にそびえる世界一位の軍隊である。ワシントンDCを核攻撃をする、ニューヨークに細菌兵器をばら撒く、と言った悪事をたくらむ組織にいるなら、組織の信条や教義など忘れて自分の身を守る事――組織から抜ける事を始めよう。
そして、あなたが清廉潔白な存在で前科もなく、一般的な社会生活を送っていたとしても安心は出来ない。非常事態において他者を踏み台にするような真似はしてはいけないし、いわゆる「非常識」な行動で誰かに迷惑をかける事も、この世界では死につながる事が多い。
また、法は問題なくても無垢な人々から恨みを買うような行為に手を染めた場合はそれなりの報いがあなたに降りかかる事もある。
忘れてはいけないのは、悪役は必ず罰せられる世界なのだ。現実と違い、この世界には悪党の居場所はないし、例え悪なら政治家であろうとも、誰であろうと捌きを受ける。おまけに、悪党が受ける罰は「死」しか残っていない。
例外になりたければ自首をするか、足を洗って堅気へと戻るか、良き人として日常を送り続けるべきだ。
そもそも、この世界ではクライムアクション映画世界の主人公にならない限り、悪人になってはいけないのだ。
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