列車に潜む危険
公共交通機関としての鉄道は、都市部以外ではあまり使われていない。
現在の合衆国の旅客輸送のメインは航空機であり、現在では大陸を横断するような鉄道の長距離旅客輸送はあまり使われていない。むしろ一番盛んなのはヨーロッパやアジアだろう。だからと言って合衆国の鉄道が安心できる交通機関であるとは常に限らない。他の移動手段に限らず、鉄道にも落とし穴――すなわちアクション映画世界の危険は潜んでいる。
ヒーローと悪党の追跡劇や戦闘が、あなたの乗る列車で発生するケースも十分にあり得る。特に大都市の地下鉄や鉄道網はかなり危険であり、頻繁に追う者と追われる者の戦いが発生する。場合によっては列車の中で戦闘が発生し、銃弾が飛び交うような事態もある。
もし、追われている誰がいる場合は、反射的に「その人がやってきた方向へ逃げる」方法を取った方がいいだろう。こうしたケースでは、ヒーローと悪党は一方的な方向にしか移動しない(車内自体は狭いため、自ずとそうなるケースがある)ので、万が一銃撃戦へと発展しても生き残れるケースは高い。
ヒーローと悪党が、あなたの乗る車内に留まって睨みあいを始めたら、それは戦闘開始のサインである。必ず座席に座り、通路側に身を乗り出さないようにしよう。格闘戦の巻き添えになる確率は低くなるし、その場から離れる事が出来れば隣の車両へと素早く移動しよう。別車両への移動が出来ない場合は、必ずヒーローと悪党から距離を置き、車内の端っこで身体の姿勢を低くしてうずくまろう。もし銃撃戦が始まっても流れ弾があたる確率は低くなるだろう。
列車が次の駅で停車したら、真っ先に降車した方がいいだろう。しかし、同じように逃げ惑う人々の列に飲み込まれたり、同じように降りたヒーローと悪党のバトルに巻き込まれる事も十分にありえる。一目散に出口へ向かわず、ホームの端で事態を静観してから移動すると巻き込まれの確率は低くなる。むしろヒーローと悪党が車内から出て行けば、むしろ留まった方が安心だろう。
もう一つのケースが列車のハイジャックである。
特に旅行目的に特化した列車などはテロリストや犯罪者の標的になりやすい。あなたが人質にされる可能性は高いだろう。だが、飛行機や船と違って途中脱出の可能性は極めて高い。列車は地上を高速移動しているが、速度を落としたり停止している列車からの脱出は簡単である、そこには地面があるからだ!
しかし脱出はオススメできない。人質が消えてる事を知るやテロリストは激昂して何かとんでもない事をしでかすだろうし、線路以外の人工物もない大自然のど真ん中から生還するのは極めて難しいだろう。それに覚えているかもしれないが、この世界は悪人に全く優しくない。それと同じくらいに身勝手な行動をする人間にも厳しい。どのような運命が待ち構えるか想像に容易いだろう。
一番の最善策は、人質として大人しく事態を静観する事だ。テロリストに、ヒーローへの見せしめとして処刑されるような事態にならないのを祈るしかない。もしヒーローが事態を掌握しかけたら、テロリストや犯罪者が掃討された安全な車両に乗り移り、動力車から切り離す事を提案しよう。ヒーロー側から提案されたら、四の五の言わずに同意する事。これさえあれば助かるだろう。
こういった事態でやってはいけないのは「動く列車に乗り続けている」事である。覚えていて欲しいが、ひとたびヒーローと悪党が戦いを始めれば、こういった列車は最終的に脱線事故を確実に起こすか、橋から墜落してクラッシュする。高速移動する列車のクラッシュがどのような悲劇をもたらすかは、現実世界を生きる人々なら、過去の事件を参考にして想像できるだろう。
こういった場合、鉄道警察や同乗の警備員に頼るという方法もあるが、その警官や警備員がヒーローでない限りは、総じてこうしたシチュエーションでは全く役に立たない。そればかりか悪党に射殺されたり、挙句に所持している銃を奪われるというケースも多々ある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます