船旅も危険がいっぱい

 飛行機が安全ではないとは前の章でも明言したが、逆に船はどうだろうか?残念ながら船は安全ではない――とは言っても、旅客機よりも安全は見分けられるだろう。

 まず、船で事件が起こるのは客船か貨物船である。前者は人質目的のテロ行為、保険金目的の沈没、または純粋な災害などによる海難事故、後者は積荷を狙った強奪事件などが発生する。


 豪華客船は比較的危ない。

 と言うのも富裕層向けのクルーズ客船による船旅がテロリストの標的にされる事があるし、ハイジャックされた場合は大規模な騒乱も起こる事が多い。また、この手の船舶は非常に災害に巻き込まれやすい。巨大津波で横転したりする事もままある。

 統計や過去の事例を見ると、こういった豪華客船でのトラブルは間違いなくヒーローが乗船している時に発生する。そして、大体が処女航海の時に発生する。

 船のオーナーにも目を光らせた方がいいだろう、船旅に無茶な要求をする事もあれば、保険金目的でわざと事故や犯罪騒ぎを起こそうとする不届き者も中には存在するからだ。


 ひとたびこうした場所で事件が起こると、生存率は低くなる。

 死者の数で見ても、航空機や列車よりも多くの一般人が死傷する場合が多い。特に巨大災害に巻き込まれた場合の生存率は非常に低くなり、数百人中たったの十数人しか生還しないという事態にすらなりかねない。


 例えば船が事故に見舞われた場合、最初の切っ掛けを生き残ったとしてもあなたの生存確率はめっぽう低いだろう。おそらく水で死ぬか炎で死ぬか転落して死ぬかのどれかしか方法はない。自分の力で運命を切り開くほかないが、そういった場合にはヒーローを探すといいだろう。

 この場合は「絶望に陥らず」「楽観も悲観もせず現実で物を見ている」「生存者を見つけて導こうとしている」人の事を指す。このような特徴を持った人物の生存確率は非常に高いので、ヒーローと出会うために動き回り続ける必要がある。特にあなたがサバイバルの知識を持っていれば率先して提供しよう。生き残れる確率はぐんと上がる。非常事態では人が結束する事で、より良い結果が得られる事は、現実世界における大規模な航空事故でCRM(クルー・リソース・マネージメント)が機能した生還事例を考えると解りやすいだろう。

 逆に、こういった事態で「絶望に陥り」「楽観か悲観のどちらかにしか向いてない」「誰かに従おうとせず自分の意見を通す」人物は極めて死にやすくなる。


 船がテロリストや犯罪者にハイジャックされた場合は、まずはハイジャックした側の指示に従うのが賢明である。有無を言わさず人質を殺すタイプのテロリストは稀であるし、犯罪者は豪華客船の中にある資産を強奪するためにまず客と船員を一か所に集めるだろう。

 こういったケースでは、ヒーローが活躍してくれる事を祈って大人しく固まるしかない。抵抗しているヒーローへの見せしめとして処刑されそうになった時の生存率は五分五分だ。ここでも子供や女性は生存率が高い。


 救命ボートを勝手に降ろして脱出する、という方法もあるだろうがオススメはしない。こういった場合、助かる確率はかなり低い上に、船からの脱出を妨害されるか、最悪の場合蜂の巣にされて殺される末路しかない。


 貨物船も積荷目的で襲撃される事が多いが、この場合も豪華客船と同じく、大人しく人質になってヒーローの到着を待つのが一番である。ただし、貨物船の場合は船員しか乗っていないため、女子供以上に危害を加えられる可能性が高い。

 また、タンカーやガス運搬船のような積荷が危険な貨物船はかなりの危険が伴う。これらはテロリストや犯罪者にとっては大好物であるからだ。


 こうしたトラブルとは無縁の船も多い。

 統計ではカーフェリーなどの小さくて質素な貨客船や、積荷が重要ではない貨物船(船員に中身が知らされてない積荷ではなく、重警備もつかない、穀物やありふれた部品などの安全な貨物)と言った船はこうしたトラブルに遭いにくい。漁船も同じだ。


 軍艦に関してはどちらかと言うと事件や事故を救援するケースが多く、安全な部類に入る。ただし、核ミサイルや重要物資を搭載している艦に乗務していて「大勢の怪しい部外者が乗り込んできた」とか、何らかの警備行動で一隻のみ海域に派遣された軍艦に乗っている場合は注意した方がいいだろう。テロリストに攻撃されたり、国家間の軍事衝突に巻き込まれやすい。

 あなたが乗組員なら軍艦からの下船は難しいだろうが、もし撃沈されるような事態になった場合は、通常の海難事故と同じくサバイバルを心がけると良いだろう。少なくとも、この船に乗っている時点であなたは訓練を受けた水兵なのだから。

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