純愛

 わ、私の名前は桃田純愛ぴゅあらぶといいます。16歳です。

 えと、高校には行ってません。お父さんの作った「桃田流拳闘術」の師範代をやってます。

 …と言っても門下生は私だけで、創始者であるお父さんも稽古の途中で私が怪我させちゃったので、実質私1人で活動しているような物だったりします。


 お父さんはかなり虚弱体質な人で、私がちょっと力を入れてパンチしたら練習場の壁に貼り付く位の勢いで飛んでいってしまったの。いくら何でも大げさ過ぎますよね?

 でも体が弱いからこそ、武術を極めて強くなろうという姿勢は理解できます。そんなお父さんの遺志を継いで(死んでない)私は「桃田流拳闘術」を盛り立てたいと思っているんです。


 虚弱体質故に全身を骨折したお父さんは、鼻血を出しながら私に「山に篭って更に強くなれ」と言いました。


 そして私は山での修行中に運命的な出会いを果たしたのです。


《…桃田純愛よ聞こえるか?》


 私の頭の中に唐突に響く声。驚いて振り向くと、そこにはとっても可愛い猫ちゃんが座っていました。

『猫が喋る』という事態に、寒さで幻覚を見ているのかな? って思ったけど、そうじゃないみたいです。


 でももしかしてお化けとか妖怪のたぐいだったら怖いなぁ… とかも思って私は声を上げられずに、無言で彼(?)を見つめる事しか出来ませんでした。


 彼の説明によると、今地球は謎の異星人に狙われてて、地球を守る戦士を集めているそうです。

『私みたいなちっぽけな女の子が役に立つのかな?』とも思わないでも無いけど、こんな雪山にまで私を探しに来てくれたという心意気がとても嬉しかったんです。


 緊張に震える手で、彼の差し出してきたピンク色のとっても可愛い戦闘服(?)を受け取ります。


 私にはちょっと派手じゃないかなぁ? もっと黒系とかのが似合う気がするんだけど…? とか思わないでもありませんでしたが、ここでそんな野暮なツッコミはしませんよ。私は空気の読める気遣い系女子なのです。


「分かりました! こんな私でお役に立てるなら頑張ります!!」


 …って元気いっぱいに言おうと思ったのですが、緊張のあまり口から出た言葉は「委細承知」なんていう味気ない物でした。


 あ〜ん、私ってば昔からこうなんです。緊張すると言葉がカタコトになっちゃうんです。そのせいで昔からなんかクラスメイトとかからも浮いちゃうし、ちょっと悩んでるんですよねぇ……。


 やらかした恥ずかしさでついつい猫ちゃんに背を向けて、照れ隠しにさっきまで叩いていた木に八つ当たりをしてしまう。


 ふと気づいたら猫ちゃんは居なくなっていました。あ〜ん、せめて少しでもモフモフしたかったのにぃ。


 でも猫ちゃんの話だと、同じ様な女の子が何人かいてチームになるらしいです。

 うわぁ、緊張するなぁ。仲良くできるかなぁ? 意地悪な娘とか居ないといいなぁ……。


 何だかとってもドキドキワクワクな私の青春が始まっちゃった気がします。

 敵の美形幹部とかと恋に落ちたりとかあったりして… ふふふ。


 よぉし、『爆裂ピュアリン』、地球の為に頑張るぞぉっ!!! エヘヘ、なんちゃってぇ……。


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【完結】「超能戦隊レットゥルトゥーア」改め「爆裂ピュアリン!」 ちありや @chialiya

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