顔合わせ

 さて、5人の戦士を集める事に成功した訳だが、ようやく全員の顔合わせが出来ると言うものである。

 既に全員に連絡用の虫型ドローンを配給してある。それを中継して彼我の映像と音声を双方向に送れる装置で、メンバー各人の目の前にも俺を含む他のメンバーが立体映像で投射されているはずだ。


 俺を基準に時計回りに赤井咲子あかいさきこ青木和美あおきかずみ、エイミー・イエローブリック、緑川雪奈みどりかわゆきな桃田純愛ももたぴゅあらぶが円を描く様にバストアップで並んでいる。


 各々の声はドローンを通して聞こえるが、彼女達と同調シンクロした俺には、それとは別に『心の声』も聞こえてくる。まぁ余程強く思わないと外には発信されない為に、念話テレパシーで混戦してしまう事は殆ど無い。


《では紹介をしていこう。私の左からトゥーアレッドの赤井咲子、ブルーの青木和美、イエローのエイミー・イエローブリック、グリーンの緑川雪奈、ピンクの桃田純愛ぴゅあらぶだ。これより共に戦う戦友だ、仲良くしてくれ給え》


 ちなみにこの時のお互いの顔を見た感想は、咲子から純愛ぴゅあらぶの5人全員が一様に『このメンツの中では自分が一番可愛い』だった事を付け加えておく。


 咲子は不満げにむすっとした顔。

 和美は何を考えているのかよく分からないが、緊張感の無い楽しそうな笑顔。

 エイミーも少し戸惑った様な上っ面だけの笑顔。

 雪奈は相変わらず包帯を巻いた右手で、右目の眼帯を押さえながら不敵に笑っている。

 純愛ぴゅあらぶは無言、無表情のまま微動だにしない。


 信頼するミナレガの人選だし、各々色彩戦士としての資質も十分にある。今この地球で考えられるベストメンバーのはずである。


 …なのにこの隠しきれない不安は何なのだろうか? 俺が何かミスをしているのか? いやそれはありえない。俺は銀河警備隊の特務大尉として、過去幾つもの星を侵略者の脅威から守ってきた。

 最強の戦士達による最強の連携、それらを導き常に勝利を収めてきた実績と自信が俺にはあった。


《諸君、多忙の中集まってもらい感謝する。今日は全員の顔合わせと支給する超能力の配分を決めたいと思う》


 俺の司会で会議が始まる。咲子がもう既に飽き始めているのか携帯通信端末スマートフォンいじくり出したが、まぁ静かにしているなら見逃してやろう。


 さぁ、次から本格始動だ!

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