赤井 咲子 その3

《いや、あの… とりあえず土下座やめて。話をちゃんと聞いてくれれば俺もこんな事しなくて済んだのね…》


 咲子は涙で濡れた顔を上げて俺を見つめる。状況が分かっていない為か、ものすごく怯えた顔をしている。


 俺はそんな彼女にゆっくりと内容を噛み砕いて、再び先程の話を聞かせた。


「…つまりあたしに何とかレンジャーみたいに変身して戦えって事…? なんであたし? 戦うとか無理なんですけど?」


《うむ、まず君には戦闘用のバトルスーツと特殊能力が1つ貸与される。色彩戦士レットゥルトゥーアはその名の通り色彩が大きな意味を持っていてな、適した色に応じた要素が多ければ多い程、強い戦士になれるのだ》


 俺の明解な説明にもまだ少し理解が追いついていない様子の咲子。何だ? 地球の高等学校生とやらの理解力も程度が知れるな。やはり蛮族か……。


 俺は咲子のヤル気を引き出す為に彼女の為に作られた特別製の真っ赤なバトルスーツを披露する。俺の念動力テレキネシスで操られたスーツは咲子の目の前でヒラヒラと舞う。


「え? これ着て戦うの? 全身真っ赤ってセンス無さ過ぎで受けるわぁ。これはヤダ、どうせならピンクが良いなぁ」


《いやお前、話を聞いてたか? お前は『赤』井さんなんだから『赤』を着ないと意味無いだろ?》


「え? ひょっとしてあたしって名前が『赤井』だからとか、そんなアホな理由で選ばれたの? だったら別に赤木さんとか赤松さんとか猗窩座あかざさんとかでも良かったんじゃ…」


《何を言う? 戦士に選ばれるのはとても名誉な事なのだぞ。なぜ嫌がる?》


「だってあたしタダのJKだし。痛いのイヤだし。まだ寒いし…」


《だぁーっ! ゴチャゴチャ言うな! 銀河連合の決定事項だ、君に拒否権は無い》


「えーっ? そんなん酷くない? あたしにも人権が…」


 …面倒くさくなったので『敵勢力と(中略)装置』を停止させて咲子を元の部屋に戻した。


 一度レットゥルトゥーアの全メンバーを確定させてからまた来るとしよう。

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