第17話 立場が違うと想いも違う
◇ ~クラウンside~
アルファードが、副会長に立候補するとは意外だった、王族として王太子として優遇されることが当たり前で、自分の立場や責任まで考えることが無かったのに。
いずれ、国のトップにならなければいけないのならば、補佐する立場を理解するのは今しかないから、自分は副会長に立候補したいと言ってきた時には、正直驚いた。
会長には、是非シェリーを推薦して欲しいと言われた時には、苦笑してしまったけどね、シェリーはそんなこと望まないよって言ったけど。
出来るだけ多くの人にシェリーの素晴らしさを分かってもらいたいなんて、今まではそんな風に考えることなど無かっただろうに。
確かにシェリーは、ハロウィン宰相の血を引くだけあって、素質は申し分ないだろうが、自分が前へ出て何かをするタイプじゃない。
だからこそ、自分が補佐に回るのだと言ってきた時には、私の義弟は本当に変わったのだと思ったよ、それだけシェリーを大事に思っているのだと、……少しだけ、胸がチクンと痛む、あの二人はお似合いなのかもしれない……
でも、あと一年、例えどれだけ変わったとしても、シェリーにふさわしくないと思えば、全力で獲りにいくから、まだまだ、安心なんかさせてやらないけどな。
……私だって、ずっと見ていたんだ、お前が王太子の立場に甘えていた時から、心から笑う事さえ我慢してお前の側で微笑みを絶やさず、少しづつ感情を表さなくなっていくシェリーを、ずっと、見てたんだからな。
◇ ~ルドルフside~
アルファード様は、シェリーのことを真剣に考えてる、まさか、シェリーを生徒会長にして自分が副会長になるなんて、ずるい。
一番いいポジションだろ、それって、シェリーを手助けするって名目であんなことや、こんなこと……
ああっ、髪をナデナデするなんて、うらやまし……じゃなくて、人前でやっちゃダメだろ、なあ。
きっと、無理難題を押し付けて陰から自分が手助けしてなんて、見え見えじゃないか、せこいぞ、アルファード様は。
そうだ、俺も立候補すればいいんだ! さすがに副会長は無理だし、書記も嫌だけど、騎士団長なら、俺にぴったりじゃないか、学園とシェリーの平和は俺が守るんだ。
俺は、今まで、遠くから見ているだけだったのが、毎日一緒に登校するようになってそれだけで満足してたなんて、俺は甘かった。
俺も髪をナデナデするんだ! シェリーの髪をナデナデ、はあああっ、いいぞ、俺!!
◇ ~アドウィルside~
やっぱ、アルファードは本気なんだな、この数年は勉強も剣も魔法も頑張ってるしな。
シェリーは確かに美人だし、魅力的だけど、あそこで、皆の前で泣く程のことか? そりゃあ、一年生で生徒会長に立候補なんて嫌だろうし、現役の役員からの推薦は辞退出来ないけどさ。
別に命がかかってる訳じゃないし、王太子の婚約者で、大貴族ハロウィン家の一人娘だろ、弟のシエンタだっているんだし、そんなに酷い扱いなんか受けないだろう?
ましてや、入学式のアルファードの宣言で注目の的だし、そんな奴にちょっかい出したら自分が目立つから、平気で手を出してくるのなんてクラウン様ぐらいだろ、昨日も目立ちまくりだし。
本気でシェリーが好きなのか、それとも、アルファードの弱みでも握るつもりなのか、あの人って昔っから何考えてんだが、読めねえんだよな、ああ、めんどくせー。
仮にも王国の筆頭魔道貴族と言われてる、ホワイトデイズ家の俺が、気配探知を使っても感情がわかんねー、何を考えてるかまではわかんなくても、普通は嬉しいとか、怖いとかそういう感情は分かるんだけどな、かなり感情をコントロールする訓練をしてんのかな?
その点、アルファードは真っすぐなんだよ、素直すぎるのは王族として褒められたもんじゃないんだろうけど、側にいるとほっとするんだよ、あいつはさ。
どうせだったら、そんな奴に国のトップになってもらいたいから、俺はアルファードの味方だし、国の害になると思えば王族だって容赦しねーから。
……ルドルフは、どうでもいいか、感情を読むまでもない単純バカだからな、いい奴なんだけどな。
◇ ~カルーアside~
ふふふん、生徒会長だって、笑っちゃうよね。
一年生で、しかもアルファード様を差し置いてなんて、皆から非難されるに決まってるじゃない!
あー、楽しくなってきた、こうでなくっちゃね、私の未来のために生徒会選挙は全力で応援させてもらいますから! あーはははっ。
まずは、手始めにアルファード様をいい様に丸め込んで、副会長候補にして、自分を応援しないと婚約解消するぐらいに脅された、でいいかな?
なにが王国のハニーローズよ、あんたみたいな、いかにもお貴族様より、最後に選ばれ、愛されるのは、可憐なヒロインなのよ。
誰も死ななきゃいいんでしょ、追放ぐらいだったら有りだよね?
◇ ~その他side~
「昨日の放課後、ご覧になりました? 」
「クラウン様とアルファード様でしょう? もちろんですわ! 王位を賭けた世紀の恋! 見逃すわけには参りませんもの」
「王位なんて賭けてましたかしら?」
「それくらいほうが盛り上がりますでしょう?」
「そうね、確かに! シェリー様を射止めた方が次期、国王! いいわね」
「そうでしょう!」
勝手な盛り上がりを見せる外野達。
「ふん、泣けばいいと思ってるのね、あの女は!」
「あんな女に騙されてる王族のお二人が可哀そうですわ」
「私達で、王国を悪女の手から守らないといけませんわね」
「そうね、ここは協力していきましょう、アストリアのために!」
「ええ、アストリアのために!」
こちらも勝手に盛り上がる第二の外野達。
「シェリー様、良くね?」
「それな!」
「いっつも、澄ましてるだけかと思ったら、泣いちゃうなんて」
「「「可愛すぎだろ 」」」
「それな!!」
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