第5話 お茶会は二人きり?

アルファード様の自己紹介は、ご令嬢方の熱い視線を集めて終わったが、それは、はっきり言ってどうでもいいの。


 そう、その後の、ヒロイン、カルーアの自己紹介があるんだから。

 順番に自己紹介が進み、カルーアの番がきた!


 相変わらず、可愛らしい。緩くウエーブのかかった亜麻色の髪、くりくりとした目は優しいブラウンの瞳、守ってあげたくなる女の子、が形になったらきっとこうなるんだろう。


 正直言うと、ちょっとだけ羨ましいな。

 だって、女の子なら誰でも憧れるような可愛らしさ。

 本当の私は可愛いものが大好きなんだけど、私の見かけじゃ似合わないからね。


 私は、美少女と言われはするものの、完璧すぎるとか、隙が無いとか、勝手なイメージが先行してるんだよな、そんな事言うなら、私の前世の姿を見せてあげたいよ、是非、中身も含めて。


 カルーアが立ち上がり、あれっ、普通に終わっちゃったよ、なんで? 


 ここでファーストイベント、立ちあがる際に緊張しすぎたカルーアがつまづき、それを隣の男子が支えて可憐な笑顔ではにかむ姿が貴族らしくない、守ってあげたい女の子、みたいな雰囲気にならなかったよ、ん??


 もやもやとした気持ちが残る中、私の番になったので、立ちあがると、周囲の視線が集まるのを感じる、あまり、好意的な感じがしないのは寂しいけど、しょうがない。


 みんなが私を見る目は、興味深々と言ったところかな?


 一通り、自己紹介が終わったところで、ステーシア先生が、立ちあがります。


「さて、明日から通常の授業が始まる。そして、一か月後に生徒会選挙がある。 1年生はあまり関係無いと思うかもしれないが、来年は君達が、主軸となるのだから、よく見ておくように。もちろん、立候補することも出来るからな。」


 では、今日はこれまで、と先生が出て行き、生徒達も立ちあがり、荷物をまとめていると、アルファード様が近づいてきた。


「シェリー、この後、時間があったら、ちょっと付き合ってもらいたいんだけど、いいかな?」


 本当に、無駄に爽やかな笑顔って、なぜかイラッとするんですけど。


 自分がどれほど、ご令嬢たちから注目されてるかわかってんのかな?

 あわよくば、彼女に、そして、側室にと、出来ることなら王妃候補にと狙われているんだよ。


 でも、ここで、断る選択肢はにはないんだよね、残念だけど。


 仮にも、婚約者である王太子から誘われて、断る理由がないし、何より、このままではどう動いていいのか、分からないもの。


 このルートへの手掛かりがあるかもしれないならば、喜んでお付き合いさせていただきます。


「かまいませんけれど、どちらまで行かれるんですか? 」


「そんな大した用事ではないんだ、せっかくだから、義兄のクラウンとお茶でもどうかな?」


 二つ上の三年生の、クラウン様も攻略対象だ。


「喜んでお付き合いさせていただきますわ。」


 通常のアルファード様ルートだと、あまり関りは無かったけども、本人に会えるならそれが一番いいわね。


 この学園は、王侯貴族の子弟が通う学校なので、庭もきれいに手入れがされていて、社交界においては、必須のお茶会が出来る場所も各所に整えられている。


 美しい中庭が見える、この学園でも一番人気の、生徒会役員専用のお茶室に向かい、アルファード様がドアを開けて下さり、中に入ると、お茶の用意はされているが、そこには誰もいなかった。



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