第2話 爽やかな朝から始まる

 穏やかな日差しが差し込み、私は目を覚ました。

 ううーん、と伸びをしてベッドから起き上がると、侍女のカシスが部屋に入ってくる。


「おはようございます、お嬢様、いいお天気で入学式にはぴったりですね。すぐに朝食をお持ちいたします。」

「ありがとう、カシス、朝食は軽めで、なにかフルーツとヨーグルトでお願いね。」

「かしこまりました。」


 ふぅ、4度目とは言え初日は緊張するよね、カーテンを開けて少しだけ窓を開けると、冷えた空気が流れ込んできて気持ちいい、このアストリア王立学園は、全寮制で男女毎に3つの寮に分かれている。

ロイヤル(王族、公爵、伯爵)、ノーブル(男爵、子爵、騎士爵)、コモン(平民)だ。


 ロイヤルはそのまま、王家の血筋を引くもので、ノーブルはその下の貴族階層、コモンは貴族に仕える使用人や、推薦又は試験を受けた人達。

貴族以外の富裕層(主に商人)は寄付金によってノーブルかコモンに分かれている。


 王族を頂点とした分かりやすい身分社会なんだけど、推薦や試験を受けて入学できるだけでも、ガチガチの体制社会でもないといったところかな、成績良ければ卒業まで授業料免除だし、期末毎に行われるイベントも高得点なら優遇措置があるからね。


 一応、寮は分かれてるけど、学校内での身分差別は禁止。

校内では誰もが平等、身分ではなく成績上位者による優遇のみ。  

だけど、そんなの建て前だってみんな知ってる。


 だってどれだけの成績を収めても、卒業したら身分制度バリバリの社会に出て行くんだもの、頭がいい人ほど、そんなこと言われなくてもわかってる。


 さあ、復習はこのくらいで、私も頭を切り替えないとね、学校に着いたらわたし、ではなく、わたくし。   


 正直、前世の記憶が戻ってから言葉遣いも気を抜くとアブナイから、気を付けないとね。


 窓の下を見ると、各寮から学校に向かって生徒が歩き始めている、わたくしもそろそろ準備をしないといけないから、制服に着替えカシスに髪を整えてもらう。


「どれになさいますか?」

 サイドアップにして髪飾りをお選び下さいと、カシスがアクセサリーケースを持ってくる。


 ゲッ、どれもこれもゴテゴテしすぎでしょう、学校につけていくもんじゃないわよね、


「宝石が付いたものはいらないわ、もっとシンプルなものでお願い。」


「どうされたんですか?昨日だってハロウィン公爵家にふさわしいものじゃないと恥ずかしいっておっしゃってましたよね。」


 あー、カシスには昨日でも、私には三年前よ、そのセリフ。


「あのね、今、窓から学校に向かう生徒を見ていたのだけど、派手な飾りをつけている人は誰もいなかったのよ、だから、目立たないほうがいいかなって思ったの。」


「そんなの当たり前ですよ、まだロイヤルの方達は誰も登校されておりませんもの、シェリー様はハロウィン公爵家のご長女で、アルファード様のご婚約者なのですから、ご遠慮する必要などございません。」


 そうだった、忘れてたけど、カシスはこういう子だった。

アストリアで一番の美少女と呼ばれるシェリーが大好きで、ドレスも宝石も大好きで、私が褒められると手放しで喜んでくれたんだっけ。


 鏡を見ると、確かに美少女という言葉がぴったりな自分が写っている。


柔らかな少し癖のあるハニーブロンド、瞳は深いエメラルドグリーン、唇はチェリーピンク、うん、確かに美少女だね、可愛いもの好きのカシスが夢中で着せ替えするのもわかる、わかるよ、けどね、ダメなんだよ、それだけじゃ、


 それで、甘やかされていい気になって、ワガママになって……反逆罪で牢獄、は回避した。

 そして、目指せ、 ……



 …………えっと、……、



 今回はどのルート? 決めてないじゃん、私!

 どうすんのよぉー、       



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