第13話 待ち伏せはダメですよ

 なんだろう、今回のルートはなんだか酷く疲れを感じるのは、四回もループをしているので、年を取ったという事なのかな?


 それでも、味方が出来たのは嬉しいし、相談する相手が出来たのは心強いけど、シエンタを攻略ってどうすればいいのかな、弟を攻略なんて考えたことも無かったからね。


「シェリー、なんか難しい顔してるけど何かあったの? お昼休みから戻ってきてから何度かため息ついているよ」


 はあ、アルファード様ってば、カルーアでも見てればいいのに、運命のお相手はあちらですよ。


「そうだよ、シェリー、もしかして何か言われたの? もし、嫌味でも言われたなら、俺がただじゃおかないけどな」


「アドウィル様、ご心配いただくようなことは何もありません、ただ、やはり、四名もの男性に囲まれての登校は目立つみたいでして、その上、お二人は王子様方でいらっしゃいますでしょう、上級生の方々からもあまりいい印象がないようなので、まだ、入学したばかりなのに、どうしたら良いのかと思いまして」


 やや、うつむき加減から、ゆっくりと顔をあげてアドウィル様と目を合わせて、……やだっ、その横にいるアルファード様までそこまで傷ついた顔しなくてもいいんじゃないの、……なんか、すごく、気まずいんですけど!


「シェリー、もしかして迷惑だった……?」


「あの、いえ、お気持ちは大変嬉しいのですが……」


 そう、気持ちだけだったらね、行動に移さないで欲しいんです。


「さすがに、王族の方をお待たせしているのは、他の方々からはあまり良いようには思われないかと、」


「そりゃあ、そうだよな、いくらアルファードが勝手に待ってるって言ってもな、待たせてるって思う奴もいるかもしれないし、」


「そんなことは、俺がさせない! 俺が勝手にやってることでシェリーを悪く言うなんて許さない!」


「でも、そのせいでシェリーが困ってるのは、事実だろ、だったら、アルファードとクラウン様は遠慮したほうがいいんじゃないのか、なんだったら、ルドルフも遠慮してくれてかまわないけどな」


 んん? そういえば、アドウィル様はなんで私と一緒にいたがるのかな、今までは、あんまり誰かに執着するようなことはなかったような気がするんだけど、あとで、カルーアに聞いてみようかな。


「俺は、遠慮なんかしないぞ、アドウィルなんかより俺のほうがずっと小さい頃からシェリーを見てきたんだからな、アルファード様も遠慮する必要なんかありませんよ」


「ありがとう、ルドルフ、でも、一番大事なのはシェリーの気持ちだから、シェリーはどうしたい?」


 一人がいい!……けど、……言えない、うーん、どうしようか、


「そう、ですね、とりあえず、あまり早い時間から待たれるのは止めていただけばと、思うのですが、ロイヤルの寮の前は、全員が通りますので、とても目立つかと思います」


「……わかった、待ち伏せするのは止める」


 ……待ち伏せって、自覚はあったんだ、……ふうーん、やっぱり、嫌がらせだったのかな? 


「だから、待ち合わせにしよう!」


 待ち伏せから、待ち合わせ? 一緒に登校するのは変わらなくないですか?


さっきの傷ついたような顔は何だったのかな、自分の思うように、私を悪役に仕立てられないから…面白く無いとか? 良くわからないけど、心配いらないから、私はハーレムルートを目指す立派な悪役令めざすんだから!



 そうだ! カルーアも一緒に登校すればいいんじゃないかな、そうだよね、なんだったら、カルーアに他の女の子とか誘ってもらってもいいし、女子が私一人だから目立つのだから。


 それと、シエンタも誘ってみようかな、シエンタの友人と一緒の登校だったらそれほど目立たないかもしれないわ。


「そう、ですわね、待ち合わせのほうがよろしいですわ」


 とりあえず、王族を平気で待たせてるとか、男に囲まれていい気になってるとかが、少しでも減れば良しとしよう、今よりはましなはずだもの、そう思えばちょっとは安心かしらね。


 シェリーのほっとしたような顔を見て、やっぱり、シェリーは俺達を待たせておくことが、心苦しく思っていたんだな、でも、俺は待っていたかったんだ、待ち合わせと言ったら君は必ずくるから、そうじゃなくて、婚約者としての義務じゃなくて、ただの一人の男として、君を待っていたかったんだ。


 シェリー、俺の婚約者。俺がどんなに君を想っているか君は知らない。


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