第15話 裏ルートがありました

「シェリー様はクラウン様からも、あの様にお心を寄せられていらっしゃるなんて流石ですわ」

「本当に、王族お二人と、騎士団長、魔道戦士長のご令息方での熾烈な駆け引き、胸がドキドキしますわ」


 熾烈な駆け引き? ほとんどクラウン様が場を仕切ってただけじゃないのかな、ご令嬢方にはそう見えるものなの?


「あれほどのメンバーに囲まれておいででは、弟のシエンタ様も姉君がご心配で気が気ではありませんわね」

「でも、シエンタ様はずっと、カルーア様のお側に付いていらっしゃたわね」

「そうね、並んでいる姿はお似合いでしたね」


 クスクスと笑いながら、自分の席に向かう二人を見ながら、カルーアとシエンタは私の後ろにいたから気が付かなかったのかな、なんてぼんやり考えていた。


 確かに見た目は癒し系の小柄なカルーアと、ふわふわ巻き毛のシエンタはお似合いだけど、確か、シエンタルートって、私、追放されるんだよね。


 どちらかというと、派手なイベントなどはあまりなく、淡々と物語が進んでいくんだけど、カルーアが屋敷に遊びに来た時に、お茶に毒を入れたとか疑われて、お父様とお母様にも責められて、平民に身分を落とされて追放、だったよね。


 あれっ、おかしいな、私、疑われてって、じゃあ、毒を入れたのって私じゃないってことなのかしら、……んんん??……そうよね、別にアルファード様のルートと違って、邪魔をする必要がないもの。


 弟に彼女や婚約者が出来ても、何も思わないんじゃないの…かな?


 何となく、釈然としないまま、午前中の授業は終わり、最近のお昼休みは、カルーアとの対策会議になっているので、また、二人で中庭へと向かう。


 ロイヤルとノーブルの寮では、個室にキッチンも付いているので、侍女に頼めばお弁当を持ってくることも出来るので、さっさと移動して、いつものテラス席に座ると、お弁当の玉子焼きを口に運びながら、力強くカルーアが言った。


「とりあえず、あの四人は放っておいても大丈夫でしょうから、シエンタをどうにかしないとね!」


「どうにか、と言われても……、弟なんてどうにかなるものなのかな」


 姉弟で恋愛感情って無理があるよね、前世の記憶持ちとは言え、小さい頃から双子で育ってきた思い出だってあるんだし、双子とは言え、二卵性だからそっくりってわけじゃないけど、やっぱり似てる部分だてあるじゃない。


「別に本当に恋愛しろなんて言ってないでしょう、とりあえずシェリーを気にしてもらわないと」


「そう思って、登校も一緒にしてるけど、それ以上はね、そう言えば、シエンタルートって私、追放になるんだよね」


「あー、そうだったね、平民落ちで追放だよね」


「だよね、それでさ、確かシェリーって毒を入れた疑いで追放されるけど、疑いってことは、シェリーは実際にはやってない……とかってことはない? だって、シエンタが誰と結ばれても嫉妬なんかしないよね、アルファード様と違ってさ、なんで毒なんか入れたんだろうって思ったら、なんか気になっちゃたんだけど、おかしくないかな」


「うーん、そう言えばそうだけど、ゲームの設定でシェリーは悪役令嬢なんだから、誰にでも意地悪なんじゃないかな」


 やっぱり、この子、全ルート制覇してないよね、だって、シエンタルートで毒を入れたのは、カルーアの自作自演なんだからさ。


シェリーは悪役令嬢だけど、甘やかされたワガママお嬢で、世間知らずなだけだから、後先考えずに周りに乗せられ嫌がらせをして、結果は破滅。


 この【ハロウィンナイト・パーティ】ゲームってけっこういやらしい作りで、本当はヒロインのカルーアがシェリーにいろんな罪を着せるんだよね、もちろんシェリーは悪役令嬢だから、自分でやる嫌がらせもけっこうあるんだけど、更に上乗せするのがヒロインのカルーア。


 それに気がついた人だけが、進める裏ルートがハーレムルートかBLルート、でもBLルートじゃ私の出番が無いからな、ハーレムルートで逆転狙うしかないんだよね、シェリーが死なない程度に追い込めばいいんでしょう、今度は上手くやらないとね!



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