人の《セックス》を嗤うな! 人の《仕事》を嗤うな!

あなたにとってセックスとはどういうものでしょう?

これは作中で投げかけられる問い掛けです。
これは万人それぞれに答えのある質問だとおもいます。正解はなく、逆にいえば万の正解があって然るべきだと。

されども敢えて、広義的にいうならばセックスとは「愛の育み」「愛の確認」であり「男女のかけひき」であり「交換」にも「搾取」にもなり得、時には「商売」であり「職業」でもあります。つまりはセックスとは「営み」であるわけです。
セックスというと「恥」という認識が強く根づいていますが、恥ずかしいセックスなんかない。間違ったセックスもないのです。ただ「無責任なセックス」「ひとを傷つけるセックス」があるわけです。

だからこそ、セックスに保険を。免許を。

このセックス保険コールセンターには百人百様のセックスの相談が寄せられます。その取りあげかた、扱いかたがほんとうに巧い。
あくまでも業務の一環として個人に介入しすぎず、かといってただの流れ作業ではなく、真剣にその相談にむきあって解決に導く。仕事に誇りを持つというのはこういうことなのだと、物語のところどころでしんみりとさせられます。かと思えばウィットに富んだ言葉の数々にくすりとさせられ、緩急のつけられた構成に熱くなる。
気がつけばいっきに読み終えていました。

「営み」――仕事もまた、営みのひとつです。
営みには責任がつきものです。相談者だけではなく保険会社で働く社員たちもまた日頃営みのなかで苦悩し、仕事とはなんだろうと考え続けています。
そうです、この小説は非常に社会派で堅実な「お仕事モノ」なのです!
仕事というものの裏側を書きあげ、その明暗を浮き彫りにする著者様の手腕には脱帽致しました。ほんとうにすごい。最後の怒涛の展開など、呻らずにはいられませんでした。
これはまさしく現代社会に必要な社会福祉であり、必要な小説だとおもいます。

わたしの語彙ではうまく、この小説のすごさを伝えられないのが悔しいですが、とにもかくにもまずは読んでくださいと強くお薦め致します。
最後になりましたが、ドラマ化希望です! テレビ番組になって、社会現象をまきおこす、それだけの影響力のある小説だとおもいます。

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